これは、ライフスタイルの選択 蟹瀬誠一 BRANZ渋谷常磐松 資料請求はこちらから

蟹瀬さんの住居選びに対する考えを教えてください。

 僕の実体験でお話しすると、一番大きなポイントとなったのが家族構成です。はじめは夫婦共働きだったので、お互いが働きやすい環境で、利便性の良い、職場に近いマンションを選びました。その後、子どもが生まれてからは彼らが暮らしやすい環境、近くに学校があり大きな公園があるような、都心から少し離れた環境に住まいを移しました。

 子どもが手を離れてから重視するようになったのは遊びの部分。僕は劇場に行くことも絵を見に行くことも好きなので、“職住近接”に“遊”を加え再び都心の方で暮らすようになった。人生のライフサイクルに合わせて住居を変えていくのが僕自身のスタイルです。

 また、自分の体験から行き着いたのが「マルチハビテーション」というコンセプトです。これは複数の居住空間を行き来しながら生活するライフスタイルのことで、欧米、特に北欧に行くと普通のサラリーマンでも自宅を二軒持っていることが多い。仕事がある平日は都会で暮らし、週末は1時間くらい離れたところにある一軒家で過ごすことで、人間らしい生活を取り戻すというスタイル。この考え方に感化され、僕も少し前に軽井沢に一軒家を購入しました。都心ではセキュリティやメンテナンスの面からもマンションがいい。自宅のある六本木は移動するにも便利だし、商業施設も多く、アメニティ(環境・住み心地)度が高い。普段は都内のマンションで暮らし、週末は離れた一軒家で過ごす。こうしたスタイルもひとつの選択でしょう。

住み替えも豊富なご経験から、昨今の住居選びのトレンドについて変化を感じますか?

 まず生き方そのものに対する考え方が変わってきた。我々の世代は働くことが人生の9割で、残りが他の楽しみという考え方でした。しかし今の世代は仕事が半分くらいになっている。半分は自分の人生を充実させるために使おうというライフスタイルに変わってきています。すると当然、遊ぶ場所が近くにある方がいいし、ショッピングなど様々なアメニティが感じられるのがよい。幸せ度が高くなるのです。

 またマンション自体のあり方も変わった。建物のみの点という発想から面へ、コミュニティを意識した作りに変化してきています。戦後の昭和30年代から40年代にかけては地方から東京へ集まってきた若者に向けて、公団に代表されるような「均質的な住居」が提供されていました。それが今では、ひとつひとつに個性のある、自分のニーズに合わせたライフスタイルを選択できるようになってきているのではないでしょうか。地域まるごと開発されるケースが増えたのもそういうことでしょう。

記者時代から海外に精通されている蟹瀬さんですが、日本と海外で、住まいに関する考え方に違いはありますか。

 欧米の先進国は上物(建物)を大切にする。そこに価値を見いだしているのに対し、日本は土地神話なので年が経てば上物の評価がゼロにもなる。この違いは大きいですね。

 かつて「ストックの文化とフローの文化」という言葉が流行しました。日本はフローの文化なので建築は木造で、何年か経ったら壊して新しいものを建てる。一方でヨーロッパはストックの文化。建物は石で作られているので、人間が死んでも家は残る。イギリスではお化けが出る家は値段が高いという話があるくらい、伝統のある建物に対する愛着があります。

 デンマークやドイツでも同じように、家は人生と共に成長させていく、死ぬまで自分と共に生きていくといった考え方がある。彼らは一気に家を完成させるのではなく、自分の気に入った家具を一点ずつ増やしていくことに喜びを感じています。私も軽井沢の家で同じことを実践していますが、7年経った今でも気に入った電気スタンドが見つからない。けれどそれを良しとする。ひとつひとつ気に入ったものを探しながら楽しむ。この喜びは実際に自分で行ってみてはじめて気づきました。戸建てでもマンションでもそれは言えることです。

今回の企画では、BRANZの新しい渋谷の物件を見ていただきました。

 この地域はかつて武家屋敷があった場所ですね。こういう場所は昔から良いところ。エリアというのは、その場所が持っている歴史や伝統というものを感じるものですよね。ここは落ち着いた印象だし、かといって街からひどく離れているわけでもない。街の利便性と自然を感じられる場所、この両方を持ち合わせているのは非常に魅力的だと思います。

 かつてエベネザー・ハワードという近代都市計画の祖と呼ばれる思想家が「ガーデンシティ」というコンセプトを考え、それが世界中に広まりました。日本では渋沢栄一氏がこのコンセプトにインスパイアされ、そして生まれた街が田園調布。都市の利便性を享受しながら自然の豊かな営みも感じられる。このエリアにも同じ雰囲気を感じますよね。

渋谷再開発イメージ

東京都下の再開発の中でも、アジアヘッドクォーター特区のひとつとしても、注目が絶えない渋谷再開発。渋谷駅を中心に、生活文化の発信拠点としての開発が今も進む。2027年の完了時には、国際文化都市としての新しい渋谷がお目見えする。

 また、20世紀が終わる頃に「あなたが一番欲しいものは何ですか」というアンケートがありました。最も多かった回答は驚いたことに「癒やし」でした。つまりもう、物質的には満ち足りているけれど、なんとなく心の中にぽっかり穴が空いている。これを満たしてくれるのは癒やしだと。癒しを提供してくれるものというのは数字で測れないないもの。つまり、いい絵画や音楽、おいしい食べ物のように大きな意味でのアートであり文化的なものです。そうした点からも現在行われている渋谷の再開発は芸術文化を街作りの構成要素として入れているし、このマンションについてもつくる側が文化を理解して価値を感じているという意味で評価できると思います。

“今、この瞬間に、一番快適な環境を選ぶ”

マンションを購入する際に考えるべきことは何だと思いますか?

 高額なマンションには今でも成功者のイメージがあります。しかし、今はかつてのバブル期とはまったく違って、自分にとって何が幸せかを考える人が増えてきているように思います。起業家で言えば、今の20〜30代に多いのはソーシャルアントレプレナー型。世の中のためになること、幸せな社会を作ることを目的に起業している人が多い。そうした方々は、住まいを成功の象徴ではなく、自分らしい暮らしができる場所として考えています。本当にスマートな人は、無駄づかいや派手なことはしない。お金で買えないものを理解している。つまり、資金を投下すべきものの価値を分かっているのです。

 また、もうひとつは、今この瞬間に一番快適な環境を選ぶことではないでしょうか。多くの人が、快適な生活を中長期に渡って過ごしたい、そのために今は少し高くても厳選していいものを選ぶという発想も見受けられるようになりました。

人の意識とライフスタイルが選択できるトレンドがマッチしてきたと。

 僕が懇意にさせていただいた野村万之丞氏がかつて「いい加減はよい加減」ということを述べていました。いい加減とは無責任という意味ではなくて、自分にとっていちばん心地よい加減を知った人が幸せになれる、それを早く見つけることができた人が真の成功者だということです。幸せを形にするときにそうした自分自身の物差しをしっかりと持つことが大切です。単に所得が多い少ないという話ではなく、その人にとっていちばん快適だと思える環境を実現することです。住まいもそうした物差しで選択していけばおのずといい出会いがあります。

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