プレミアム「ダウンアウター」ブランド、DUVETICAを知っているか

今、冬用アウターとしてダウンジャケットを着用する男性が増えている。その現象は、一定のクラス感が必要となるビジネスシーンにおいても顕著だ。冷え込んだ朝方、ダウンジャケットで風を受けながらビジネス街を闊歩する男たちの姿は、年々多くなってきている。なぜ、こうした現象が生まれているのか? 優れた実用性とデザイン性を両立した高級ブランドの認知が高まってきていることと、相関関係がありそうだ。イタリアのプレミアム「ダウンアウター」ブランド、デュベティカの魅力を紐解くことで、答えが明らかになる。

Photography:Keiji HiraiStyling:Mariko kawada
Hair&Make:Yayoe ShimizuModel:LAURENT,Nana Uchida
制作:東洋経済企画広告制作チーム

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デュベティカを選ぶ必然

ジャンピエロ・バリアーノ氏によって、2002年にイタリアで誕生したデュベティカ。ダウンをはじめ、生地やジッパー、ボタン、糸に至るまで素材にこだわり、かつ上品なモダンデザインを追求する姿勢で、プレミアム「ダウンアウター」ブランドとしての名声を勝ち得ている。そのデュベティカの魅力を、改めて解明する。

ダウンジャケットはなぜ最強のアウターと呼ばれるのか

ダウンジャケット

厳しい寒さへの対策は、人間にとって永遠のテーマだった。毛を縮絨したメルトン、オイルを塗布したギャバジン、古くは狩猟して手に入れた毛皮まで。さまざまな素材や知恵を駆使し、寒さから身を守るためのアウターを生み出してきた。そうした中、金字塔を打ち建てたのが、1930年代に誕生したダウンジャケットだ。水鳥から採取したダウンをキルティングステッチでアウターにしてみると、驚くほどの保温性があることを発見。それまで厚手で重いウールセーターを着込んでいた登山家たちがこぞってダウンジャケットを着用しはじめ、エレベスト登頂や南極探検などの過酷な環境下で役立つ高機能アウターとして知られていった。それからしばらくすると、街中でも使えるカジュアルウエアとしても普及。冬用アウターの身近な選択肢のひとつとなったのは、ご存じの通りだ。

こうした誕生の経緯から、今でもダウンジャケットにアウトドアなイメージを持つ人は多いが、実はビジネスシーンにもベストなアウターであるという事実が徐々に広まっている。ビジネスという舞台にも、険しい山や極地とは異なる厳しさがあるからだ。

当然、一番の利点として上げられるのは、優れた保温性だ。空気の層を取り込んで外部の冷たい空気を遮断するダウンの温かさは、生地を重ねたことで得られるものとは格段の差がある。それに重要なカギとなるのは、ビジネスウエアは状況に応じた衣服の調節が気軽に行えないことだ。アウターを除けば、スーツの場合はアンダーウエアかジレ、またはニットで体温調節するしかないが、厚手の生地だと着膨れてしまって野暮だし、暑くなってきたからといってすぐに着替えるのも難しい。しかし、凍えるような寒さの中で出勤してから暖かなオフィス内で汗をかき、外回りの時間になると汗が冷える……というような、一日の中で外気温が大きく変化するのは珍しいことではない。外の寒さはアウター1着だけで対応し、スーツは室内での作業を想定した着こなしでまとめるというのがシンプルだ。ダウンジャケットなら、こうしたスタイルを容易に実現できる。

グレイグース1枚目

次に取り上げたいのが、軽さだ。一度でも着用したことのある人ならわかるが、他のアウターと比べ、ダウンジャケットは驚くほど軽い。着用時に身体にかかる負担も低減するわけであり、これは毎日の通勤や外回りなどを行うビジネスマンにとって大きな利点になる。移動時にかかる疲れの原因というと、手にする荷物の量やカバンそのものの重量を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、身にまとった衣服の重量というのも馬鹿にできない。特に防寒性を求められるアウターは、生地を厚くしたりコーティング処理したりで重くなりがちだ。優れた軽さを誇るダウンジャケットならそうした負担を抑え、足取りを軽やかにしてくれる。

最後は、ビジネスにふさわしいシルエットを構築できる点だ。ダウンジャケットというと、モコモコしたものをイメージするかもしれないが、少ない量でも高い保温性を発揮する高級ダウンを詰めた製品であれば、身体のラインを崩すことがない。ツイードやヘリンボンなど、落ち着いた表地を使ったデザインも拡充しており、ビジネスでの利用に躊躇する理由はなにひとつない。

グースダウン、その高いクオリティ

デュベティカがプレミアム「ダウンアウター」ブランドと世界から認知されている理由が、ダウンにある。

そもそもダウンとは、フェザー(羽根)のように堅い芯が無く、立体的な膨らみを持つボール状のもの。中心の核から極細で柔らかなうぶ毛が密生しており、他とは比べようもない保温性を実現している。1羽に20〜35gしか存在しないため、非常に希少な素材だ。膨張性と適度な量感を加えるためにフェザーも混ぜられるが、ブランドによっては比率をダウン70%・フェザー30%などとするところ、デュベティカはダウン90%・スモールフェザー10%という高ダウン比率を堅守。これによって最高級の品質であることを示す、"ピュアグースダウン"の称号キャトル フロコンを冠している。

グレイグース2枚目

また、ダウンは水鳥から採取できるとはいえ、グース(ガチョウ)とダック(カモ)といった種類や、ホワイトかグレイなのかといった品種によっても品質は異なる。デュベティカでは特に品質に優れたグレイグースのみを厳選し、他種とブレンドすることなく使用。しかも、ペリゴールを中心とした南仏地方にて放し飼いで育てられる高級食材フォアグラ用に飼育されるグレイグースを厳選。広々とした大地と豊かな水辺の環境の中、自然の恵みだけを食物として育てられているため、工業的に飼育される鳥たちとは比べ物にならないほど状態がよいダウンを採取できている。

グレイグース4枚目

さらにダウンは、水鳥を確保したら終わりではない。採取するにも技術が必要だし、ダウンボール、フェザー、スモールフェザーの分類作業は非常にデリケートで熟練の技を必要とする。バクテリア殺菌と乾燥工程はEUの衛生基準に則って行われ、専用機器によってその工程が記録。品質や衛生面で一定の規格が証明されたものだけが製品に採用されている。

グレイグース5枚目

まさに究極のクオリティを追求したのが、デュベティカの"ピュアグースダウン"なのだ。フランスの自然の恵みと職人たちが培ってきた技術が、ここに息づいている。

ジャンピエロ・バリアーノが語る、デュベティカに込めた想い

ジャンピエロ・バリアーノ氏

デュベティカがイタリアで生まれたのは、2002年のこと。創業者であるジャンピエロ・バリアーノ氏は、ダウンジャケットに大きな可能性を見出していた。

「当時、すでに究極のアウトドアウエアとしてのダウンの役割は終わっていた。でも、ダウンには、ハイテクウエアとはまったく違う、オリジナル性がある。自然の驚異と人間の叡智が出会ったことで生まれたその奇跡を現代的な視点で再解釈して提案すれば、必ず市場は受け入れてくれる。私は、そう確信して、そのプロジェクトに夢中になって仲間達と取り組んだんだ」(デュベティカ・カタログより)

バリアーノ氏はヴェネチア生まれのギリシャ系イタリア人。イタリア海軍を経て、造船業に身を置くが、不況の中で1979年にベネトンへ転職。1984年、アパレル企業のペッパーインダストリーズにヘッドハンティングされ、同社No.2として敏腕をふるう中、1992年にダウンジャケットの開発に取り組む機会があり、その魅力に惹きこまれた。大きな資本が流れ込んで社内環境が変わったのを機に辞職し、しばらく後に独立してデュベティカが誕生する。

「ダウンを再びやると決めた時から、最高品質のペリゴールを中心とした南仏地方の最高級のグレイグースを主軸にし、今の時代に求められる機能とデザインが融合したイタリアブランドにするという構想は、すぐに固まったんだ。ブランド名を、フランス語とイタリア語を組み合わせたのは、そのためだ。一番悩んだのは、果たして、どこの国でこのブランドをデビューさせようということだった」(同上)

デュベティカとは、フランス語で「ダウン」を意味するDUVETとイタリア語で「倫理・道徳」を意味するETICAの造語だ。そうするほどに、両者は分かちがたい存在というわけだ。

「デュベティカは、伝統的なヨーロッパの文化的風土やモノ作りと、現代的感性を融合させたブランドだ。前者は我々がこだわるグレイグースダウンに、後者はデザイン性と細身のパターンに象徴されている。歴史こそ浅いけれど、我々は、今、新しいクラシックを構築しつつあると自負しているよ」(同上)

バリアーノ氏が見出した可能性が、結実しつつある今日。デュベティカのハイクオリティなダウンジャケットは、世界を魅了している。

デュベティカのある日々 デュベティカのある日々