TPOという和製英語がある。時と場所、場面に応じて態度や服装を使い分ける、という意味だが、日本のビジネスシーンにおいては、これがなかなか難しい。現実のビジネスパーソンは、朝着たスーツを1日中着ていることもあり、スーツさえ着ていれば、ほぼどのシチュエーションでもOK、という認識を持ってしまっているからだ。
ただ、ちょっと意識を変えれば、その大雑把なスタイルに変化をつけることができる。まず、なによりもオケージョンを重視する。着替えることのできないスーツは、その日一番重要なシーンに合わせるのだ。たとえば、重要なプレゼンや商談があるときは、ネイビー・ストライプスで、会食がある日は無地のダークスーツで、といった具合に。また、夜にパーティがあるときは、レジメンタルタイから小紋柄のタイにチェンジしたり、少し華やかなチーフを入れたりと、小物を上手く使って演出するのである。
そういった意味では、腕時計も重要なアイテムとなる。どんなに高価なものでも1本しか持ってなく、いつもそればかりを着けているのはいただけない。身の丈にあったものを複数本所有し、その日一番重要なオケージョンに合わせて着け替える。腕時計もそういった使い方ができると、スタイルに深みがでてくる。
そこでお薦めしたいのが、ハミルトンの腕時計だ。洗練されたデザインに、細部にまで行き届いた美しい仕上げ、そして安定したムーブメントを持ちながら、手が届きやすい価格設定がなされている。とてもコストパフォーマンスの高いモデルたちだ。
なによりモデルそれぞれが強い個性を持っているので、シーンでの使い分けがしやすいのも利点だ。たとえば、「レイルロード オートクロノ」は精悍な顔立ちからも、ぜひ商談やプレゼンといった勝負のときに、ネイビーやチャコールグレイのストライプスーツに合わせたい。また「スピリット オブ リバティ」のシンプルで端正なダイヤルは、落ち着いたダークスーツに合わせ、会食などの場面が合うだろう。ダイヤルから機械が見える「ジャズマスター スケルトン ジェント」には、華やかなパーティシーンがお似合いである。
携帯電話が普及した今日、もはや機械式腕時計は実用品としては“いらないもの”である。だから、誰もが欲しくなる。女性にとってのジュエリーのように、男性唯一のアクセサリーである腕時計を、スタイルに合わせて着け替える。現代はもう、そんな時代なのである。