—ワークスタイルの変革が必要とされる理由について教えて下さい。

鈴木:日本は今後、少子化にともなって労働人口が減少していきます。競争力を維持していくためには、すべての企業にとって良質な労働力の確保がこれからの課題となる。そこで求められるのが新しい働き方、ワークスタイルの変革です。

鎌田:潜在的な労働力の確保として注目が集まっている女性の活用。しかし女性には出産や子育てなど、働きたくても働けない事情がこれまで存在していました。

鈴木和典氏

鈴木和典
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
チャネル アンド マーケティング本部長

鈴木:仕事が理由で結婚や出産をためらう女性も多くいると聞きます。これまでは出社に伴う「時間」や「場所」の拘束が、育児と仕事を両立するための障壁となってきた。そういった制約をITの力によって取り払い、在宅でも職場と同等の労働環境を提供する。働き方のダイバーシティを促進していくことが、グローバル競争への対応には必須と考えています。

鎌田:育児中の女性に限らず、介護が必要な両親をもった方。あるいはパンデミックや災害時においても、こういった働き方を認めていれば生産性を落とすことなく仕事を進めることができる。そのような観点からも、ワークスタイルの変革は今後ますます求められていくのではないでしょうか。

—日頃どのような働き方を実践されているか教えて下さい。

鎌田:私は週に2日、在宅勤務制度を利用しています。自宅のパソコンからボタンひとつで資料の共有。また電話やビデオ会議、チャット機能などを駆使することで、フェイス・トゥ・フェイスと同等のコミュニケーションを行うことができます。またプレゼンス機能というものがあるので、相手には私が在籍中か離席中か、あるいはミーティング中かということが全て可視化されます。

鈴木:弊社では「モバイルワークスペース」という概念を提唱しています。これはパソコンやネットワークからの解放を意味するものです。仕事に必要なデータやアプリケーションを安全なデータセンターで一元管理して、ユーザーは自宅のPCやタブレットやスマートフォンなどからオンデマンドにアクセスして業務を継続することが可能です。利用するデバイスを自由に選択することができるのも特徴です。仮想化のテクノロジーによって、自宅からでも電車や飛行機の中からでも同等な環境が確保できるようになりました。ワークスペースというものが移動可能、モビリティなものになった。まさに「モバイルワークスペース」です。

鎌田:セキュリティについて不安視される方も多いですが、リモートワークを支えるシステムは全てセキュアな仕組みによって支えられているので、仮に端末を紛失してもそこから他人にアクセスされる心配はありません。

鈴木:こういったテクノロジーは目に見えないので、それに対する不安が誇張されている部分は大きいと思います。しかし実際にはこれまでの紙媒体よりもずっとセキュリティが高い。安全性について日々進歩を続けるソフトがあり会社があり、そういった全体の仕組みによってセキュリティが担保されている。仮想化のテクノロジーやデータを外部へ持ち出さないことを含めた設計によって、セキュリティが充分に担保できる時代へとなってきているのです。

鎌田道子氏

鎌田道子
シスコシステムズ合同会社
執行役員 ジャパンマーケティング本部 本部長

—最後に「新しい働き方」を牽引する両社のご紹介をお願いします。

鈴木:シトリックスは仮想化の技術を核にして「モバイルワークスペース」という、どこからでも安全に仕事ができる環境を提供するためのソフトウェアや仕組みを提供する会社です。しかしこれらのサービスは決して一社だけで提供できるものではありません。我々だけの世界で完結せずに他社とエコシステムを組むことで、よりよいものをお客様が享受できるような世界を作っていきたい。そういう意味でもシスコは最高のパートナーだと考えています。

鎌田:シスコは「モバイルワークスペース」を実現するためのテクノロジーを提供することに加え、最近ではワークスタイル変革をどのように進めるかやテクノロジーをどのように活用するかについてのコンサルティングサービスも始めました。我々もシトリックス同様、エコシステムを大切にしている会社。これからも相互に補いつつ、Win-Winの関係でお客様に最高のサービスを提供していきたいと思います。