「Windows 7」のダウングレードPCなら買い替え不要という場合も

MS事業部 部長
高野 祐一

 Windows XPのサポート期間が終了すると、マイクロソフト社からのセキュリティ更新などのサービス提供がなくなる。そのまま使い続けることは高い経営リスクを負うことになる。ある企業経営者は、「むろん、最新のOSに移行するつもりだ。PCの買い替えも検討しているが、当社の場合、100台以上になるので正直言ってコストは痛い。そもそも、まだ十分に使えるのにもったいないという思いもある」と話す。それに対して、富士ソフトMS事業部 部長の高野祐一氏は、「現在、企業で使われているPCの多くは、最新OSでの使用に耐えうるスペックを持っています。気付かれていないお客様も多いのですが、PCに『Windows 7』などのエンブレムシール(ライセンスシール)が貼ってあるものは、もともとWindows 7からWindows XPにダウングレードしたものであり、Windows 7に移行しても問題なく活用できます」と指摘する。ダウングレードとは、既存の社内システムなどに合わせるために、あえて旧バージョンのOSを使用することだ。「このようなPCは、アップグレードも比較的容易にできるので、買い換えに伴うコストを大幅に削減することができます」(高野氏)。

意外と手間と時間がかかるOSやアプリケーションの再インストール

 Windows 7やWindows 8などからWindows XPにダウングレードしたPCならアップグレードでの移行も可能だ。ただ、実際に作業しようとすると、まずデータを圧縮させて保管した後、OSやアプリケーションの再インストールを行う必要がある。「作業が終わるまで、数時間かかることも珍しくありません。業務に大きな支障となります。さらに、本来は特定の人しか閲覧できないデータを共有サーバーにアップしてしまうといったミスも起こりがちです」と高野氏は説明する。これらの作業を営業部門などに任せることは、現場の大きな負担になるだけではなくリスクにもなる。かといって、情報システム部門の担当者が現場を訪問し、1台ずつインストールして回るというのも現実的ではない。「このような課題を解決する新しいサービスも登場しています。1台あたり最速30分程度で移行でき、データの退避なども不要です」と高野氏は話す。

最短30分で移行可能なアップグレードサービスが 1台あたり数千円で利用可能

 高野氏が紹介するのは、『らくらくアップグレード for Windows』(富士ソフト)というサービスだ。同サービスでは、顧客とマスターPCの環境を、事前に送付するUSBを使って確認。その上で、移行環境に合わせたDVDを作成する。企業の現場ではこのDVDをPCに挿入し再起動するだけでWindows 7やWindows 8への移行が完了するという。注目すべきは作業時間の短さだ。「最短で30分程度で移行作業が終わります。その間、PCの前にいる必要はありません。昼食などの間に簡単に実行することができます」と高野氏は話す。データの退避などが不要なことも特筆すべきだろう。各種データのほか、『Office』などで作成した文書やスケジュール、メール、WEBブックマークなども、データがそのまま残っている状態だ。
 気になる料金は、移行するPCの台数により異なるが、「100台以上のPCがある企業なら1台4000円程度ですみます」(高野氏)というからうれしい。PCを買い換えずに移行を実現したいと考える企業にとって、頼もしい選択肢と言えそうだ。

PCへの作業工程を大幅に短縮

移行にあたってのポイント