基調講演
戦略ストーリーを創るセンス

一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授

楠木 建

 まず、冒頭では、楠木氏が「経営センス」に関する講演を行った。多くの著名な経営者の発言や有名企業の事例の参照に満ちた講演は、現実を直視した辛辣なメッセージを中心にしつつも、同氏の軽快な語り口に会場は何度も笑いに包まれた。
 同氏はビジネスには普遍的な法則がないために常に答は特殊解であることを指摘し、だからこそ「違い」をつくってつなげていく「ストーリーとしての競争戦略」の重要性を述べた。
 その上で、「経営のセンス」とは、抽象化して論理を引き出し具体的なアクションに結び付けていくことにあると述べ、ビジネスは経営者の「センス」と担当者の「スキル」で動いていくのだと主張した。 こうした「センス」は挨拶の仕方や食事の仕方など一挙手一投足に現れるとし、「センス」が育つ土壌として大切なのは「直接経験」だと結んだ。

主催者講演
Handbook ARISE ―Handbook新世代、現場の力を最大化する伝えるチカラ


インフォテリア株式会社
代表取締役社長

平野 洋一郎

インフォテリア株式会社
プロダクトマーケティング部
シニアプロダクトマネージャー

松村 宗和

 

 現在、タブレットの活用シーンは、オフィスのペーパーレス化、営業資料やマニュアルの電子化などの「コンテンツ活用」が中心である。だからこそ、「Handbook」などのモバイル向けのコンテンツ管理システムが、タブレットのビジネス活用を成功させるのに最適のツールだと強調する。
 次いでプロダクトマネージャーの松村氏が「Handbook」の魅力を説明した。「コンテンツへのモバイルアクセス」、「高い表現力」、「情報統制力」といった魅力を説明した上で、「Handbook 4のコンセプトは現場主導で伝えるチカラを強化すること」と語り、電子カタログなどのコンテンツの「現場での手渡し」を可能にするブックドロップ機能や、膨大な資料に対しての社内の「口コミ」を五段階評価や一言コメントなどで手軽に共有するフィードバック機能などを説明した。 

事例講演1
PC+時代における最適なタブレット製品導入と活用

レノボ・ジャパン株式会社 マーケティング本部マネージャー

垂見 智真

 レノボでは「PC+」という言葉が使われる。PCにもう1台のPCやスマートデバイスをプラスして使うという意味合いだ。垂見氏はPC+でワークスタイルやライフスタイルを変革できると表明。法人向けウインドウズタブレット市場で同社が50%以上のシェアを持つことなどが紹介された。
 同社では最新のコンテンツを用意して説明やデモに「Handbook」を使っているとし、「PCベンダーがどんどん使わないとユーザーに見せられない」とまで語った。そして「Handbook」を使うようになってからデモ回数が増えたことなども指摘。同社のタブレットのシェアを支えている一端にも「Handbook」の力があるのではとほのめかした。

事例講演2
当社におけるHandbook導入とスマートデバイスの活用について

株式会社東京国際フォーラム 管理部ジェネラルマネージャー
危機管理担当 兼 事務監理担当 兼 施設部情報管理支援担当

齊藤 真

 今年4月、「iPad」と「Handbook」を導入した背景に、膨大な量の資料の機動的活用等があったと齊藤氏は言う。セキュリティの確保、短期間での導入、操作性、コンテンツ作成の容易さなどから選定されたソフトが「Handbook」だった。

パネルディスカッション
ユーザー企業が語るHandbookの「○と×」

パネリスト

レノボ・ジャパン株式会社
垂見 智真 氏

株式会社東京国際フォーラム
齊藤 真 氏

インフォテリア株式会社
平野 洋一郎 氏

モデレーター

IT Leaders編集局長
田口 潤 氏

 

 パネルディスカッションでは田口氏の進行のもと、3氏が率直な討論を行った。
 口火を切ったのは垂見氏。シェアの大きさ、ウインドウズ8対応なども「Handbook」選定の理由にあげた。「導入に際しての障害はほとんどなかった。満足度は85点」が垂見氏の評価。タブレットの使用頻度の高いユーザーのほうが業績がいいと打ち明けた。
 次に齊藤氏。導入時、「iPad」を初めて使うユーザーが多かったこともあり、インフォテリアのスタッフが訪問し使い方などをアドバイスするサービス「Handbook教え隊」を利用したと明かす。「容量に制限があることが気になったが、この点はストレージ料金が定額になる新しいサービスに期待したい」とも。評価については「85~90点」と堂々たるものだった。
 平野氏は、新しいオプションも含めて料金体系を簡単に説明。投資についてハードルが低いことに会場の参加者も思わず頷く。そのうえでユーザーから要望のある点については現在、逐次検討や改良を進めているのだという。最後にモデレーターの田口氏が「こういうツールが頑張っている日本は頼もしい」とまとめて、熱気溢れるカンファレンスは幕を降ろしたのだった。