最先端を行く「データサイエンティスト」に聞く
本当の意味で価値を生むデータ活用法とは
「ビッグデータ」という言葉を聞くことが増えている。収集したデータを分析し、ビジネスに活かしていこうとする考えだ。多くの企業が関心を持っており、データ分析のプロフェッショナルである「データサイエンティスト」という職業にも注目が集まっている。一方で、企業の現場では、「経営トップからビッグデータを活用せよと指示されたが、何から取りかかればいいのかわからない」といった声もある。また、「高いコストをかけて分析したが成果につながらなかった」と、早くも失敗例も生まれている。その理由はどこにあるのか。ここではビッグデータ分析の分野で先端を行く日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)のデータサイエンティスト3人に、本当の意味で価値を生むデータ活用のポイントを聞いた。
制作:東洋経済企画広告制作チーム
経営にインパクトを与えないデータ分析は無意味

 ビッグデータの活用が、企業にとって大きなテーマになっている。この分野への注目が高まるとともに「データサイエンティスト」という職業そのものが「魅力的な仕事」と紹介されるようになっている。  それに対して、「データサイエンティストの仕事は、華やかな側面よりは、むしろ泥臭い部分も多い」と語るのは、日本IBM ビジネス・アナリティクス&オプティマイゼーション サービス シニア マネージング コンサルタント/データ サイエンティストの山田敦氏だ。
 山田氏は2000年代、まだ「ビッグデータ」という言葉が一般化されていなかったときから、さまざまなデータをビジネスに活用する技術やサービスに携わってきた。
 「やっている仕事は当時から大きく変わっていません。後から『データサイエンティスト』という名前が付いたと感じています。そのころから私が大事にしているのは、データ分析の目的と経営インパクトです。すなわち“何のためにデータ分析をやるのか”。やるからには、売り上げ拡大やコスト削減など、P/L(損益計算書)やB/S(貸借対照表)にインパクトを与え、その改善に貢献できるようなものでなければ意味がありません」と、山田氏は指摘する。

日本IBM
ビジネス・アナリティクス&
オプティマイゼーション サービス
シニア マネージング コンサルタント
データ サイエンティスト

山田 敦

日本IBM
マネージング コンサルタント
データ サイエンティスト

渡辺 圭吾

「鉱脈」や「発見」には仮説を立て検証することが大事

 データ分析の目的が明確でないままプロジェクトがスタートすることなどあるのだろうか。
 マネージング コンサルタント/データ サイエンティストの渡辺圭吾氏は「『わが社もビッグデータを活用しなければ』と、メンバーだけが集められ『さて、何からやろうか』となるケースも見られます。さらには、『データサイエンティストさんに、何か“発見”してほしい』と言われることもあります」
 データ分析やデータサイエンティストの役割を誤解している代表的な例だろう。
 「データマイニング(データの採掘)」という分析手法があるものの、渡辺氏によれば、目的や仮説なしで、「A商品を買う顧客の多くはB商品を買う」といったデータの相関について、想像もしていなかった結果が“発見”されることはまれだという。
 「そうではなく、自社の事業の特色を把握した上で、複数の仮説を立て、それぞれを検証していくためにデータ分析を活用すべきです」と渡辺氏が話すように、地道な作業の繰り返しから“正解”が見えるわけだ。

「データサイエンティスト」はデータ分析のプロでありコンサルタントである

 マネージング コンサルタント/データ サイエンティストの羽田知史氏は「データ分析による成果はお客様が判断されるもの。ただし、その手法については、ノウハウと経験も要求される」と語る。羽田氏は日本IBMの東京基礎研究所の出身であることを生かし、顧客とは違った視点でワークフローなどを「見える化」し、高い評価を得ている。
 山田氏は「データをガリガリと処理するだけではなく、その先のお客様の業務の改善につなげることが大切。コンサルタント的なスキルと分析スキルを併せ持ち、“その問題を解決するためには、このような手法で分析すればいい”と頭の中でロジックを組み立てながらお客様と話すことができるのが優れたデータサイエンティストです」と話す。

日本IBM
マネージング コンサルタント
データ サイエンティスト

羽田 知史