京阪の特別車両「プレミアムカー」の成否は? 関西でハイグレード列車は受け入れられるか

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京阪線ではのどかな風景を車窓に大阪淀屋橋を目指すプレミアムカー付き特急(撮影:久保田敦)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2018年1月号『京阪PREMIUM CARの成算と評判』を再構成した記事を掲載します。

京阪電鉄は2017年8月20日から8000系特急車に特別車両のプレミアムカーを連結した。首都圏JRのグリーン車のようなサービスは馴染まないと定説的に言われていた関西に登場した特別車両だが、どのようなサービスでどのような需要を見込んだものなのか。目の当たりにしたのは特急車とはいえ都市通勤鉄道と思えないグレードとその車両に向ける人々の熱い視線だった。

日中毎時4本が現れる特急“グリーン車”

大阪、淀屋橋10時30分発の京都、出町柳行き特急は、細長く狭隘な地下ホームへ、出町柳からの特急として5分前に到着した。目の前に見慣れたツートンカラーとは異なる深い赤一色の車両が停止する。ホーム床面や柱には「プレミアムカー乗車口6号車指定席」などと記され、その部分だけ箔を張ったような装いのドアから一掴みの人々が下車すると、品のよい女性アテンダントが「車内整理中」の札を掛けた。すぐにドアが閉まると、車中の大きな座席が1列ずつ交互にグルリと向きを変えた。他の車両は従来どおり一斉に背もたれを動かし、向きを変える。

再びドアが開いて札が外されると、アテンダントが入口奥で迎えて乗車開始。ドア横の表示器には「特急京都出町柳」の文字の下にもう1行、「1006号指定席10:30当駅発」とある。「特急1006号」がこの列車を特定する列車名となっている。

京阪線の特急は、早朝と深夜を除いてほぼ終日にわたり10分間隔の高頻度で運転されているため、指定席車両となれば誤乗防止のために列車名が必要になった。京阪線は京都発が下りで奇数、大阪発が上りで偶数とし、毎時1本目を下りは01、上りは00から付番する。大阪淀屋橋発10時台の特急としてダイヤ上は上り4本目で「1006号」となる。

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