日本人は、驚くほど「スキンシップ欠乏症」だ 人間は本能的に接触要求を持っているのに…

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選挙で多くの候補者が「握手」をする理由とは?(イラスト:poosan / PIXTA)

衆議院選挙の投票まで1週間を切った。ふたを開けてみれば、何だか盛り上がりに欠ける選挙戦だ。もう少し血みどろの戦いになるのかと思ったら、小池百合子東京都知事が立ち上げた「希望の党」は大失速。「排除」などという何とも傲慢な響きをもった言葉が飛び出たあたりから、潮目が変わった。風を読みながら、類まれなコミュ力でここまでやってきた彼女がコミュニケーションの失敗によって、一気に勢いを失う。まさに策士策に溺(おぼ)れる、とはこのことだろう。

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血なまぐさい話は、これでおしまい。今回は「スキンシップ」の話をしたいと思う。いきなり?という感じだが、候補者が駅で、街頭で、声をからして有権者に呼び掛けをし、必死になって「握手」をしている今だからこそ、日本人にとってのスキンシップの意味合いを(やや、こじつけながら)考えてみたい。「握手」にはどのような意味があるのだろうか。

欧米であれば握手は日常茶飯事だが・・・

皆さんは最近、人の肌の温かみを感じたことがあるだろうか。人と人との関係性について日本と海外を比較したときに、気がつくのは、日本人のスキンシップの少なさだ。手をつなぐ、ハグをする、手をつなぐ、腕を絡める……。海外に行くと、カップルたちの目のやり場に困るようなイチャイチャぶりに戸惑う方も多いと思うが、日本は「慎み深さ」を美徳とする文化だけに、公衆の面前でのそういったスキンシップの機会は欧米に比べて圧倒的に少ない。

スキンシップは実は和製英語。英語ではPhysical intimacy(肉体的親密性)という。欧米であれば、握手は日常茶飯事だし、人と会った瞬間や別れ際にハグをしたり、ほおにキスをするような動作も一般的だ。男性が握手をした後に、相手の背中を軽く触れたりすることもある。国土が狭く、住居も小さい日本では、たとえば、混んだ電車の中など、人々の間の物理的距離は欧米に比べて近いのに、他者と肌を触れ合うようなコミュニケーションをとることがほとんどない。

同じアジアの中でも、たとえばお隣の国、韓国は、男女ともスキンシップが非常に盛んなお国柄。公共の場でも、カップルは抱き合ったり、キスをするのは当たり前で、髪の毛を触ったり、顔をなでたり、完全に他が見えない「2人の世界~♪」と言ったいちゃつきぶりだ。女性同士も手や腕を組み、大人の親子も平気で手をつないで買い物に行く。男性同士でも肩を組んだり、腰に手を回したりといった姿を目撃することもある。とにかく、人に触るのが誰も大好きらしい。

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