政権を担えない民進党の「果てしない罪深さ」 党内対立で政策作れず、社会党の二の舞いに

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安倍政権に逆風が吹いた7月2日の東京都議選でも民進党は議席数を減らした(写真:つのだよしお/アフロ)

安倍内閣の支持率急落や、その原因となった首相や閣僚の疑問だらけの言動ばかりが世の中の耳目を集めているが、その陰に隠れている民進党の救いようのない状況は、長い目で見ると自民党支配を固定化し政権交代の可能性を閉ざしかねないなど日本政治にとって見逃せない重い問題をはらんでいる。

民進党は自民党にとって代わって政権を担った民主党が母体の政党である。ところが民主党政権のお粗末な政権運営の記憶が強烈に残っているためか、各種世論調査での民進党の政党支持率はミニ政党並みの一ケタが続く。野党転落からすでに約5年が経つが、信頼を回復するどころか総選挙や参議院選挙、さらに東京都議選まで連戦連敗を続けている。

憲法改正問題や安全保障政策など重要な課題について党内の意見は割れたままで、政党としての一体感は感じられない。さらに最大の支持母体である連合との間にすき間風が吹き、次期総選挙に向けて十分な候補者を集めることもできていない。その様は「55年体制」のもとで長く自民党に対峙してきた社会党が1990年代に入って急速に衰退していった歴史を彷彿とさせるものがある。

初期の民主党は誠実で真剣さもあった

民進党の前身である民主党は、初めての小選挙区比例代表並立制の総選挙を目前に控えた1996年9月に結党した。細川連立政権を支えた非自民勢力の中の社会党や新党さきがけの一部議員ら中道・リベラル勢力が集まってできた政党だった。10月の総選挙の結果、民主党は52議席を獲得し政党としての足場固めに成功した。その後、民主党は2005年の小泉純一郎首相による「郵政解散・総選挙」を除いて2009年の総選挙まで国政選挙のたびに議席を増やし続けた。

初期の民主党には自民党にとって代わる独自の政策や統治システムづくりに地道に取り組む誠実さがあった。その底流にあったのは長く続いた自民党政権が生み出した政治の非効率性、不公正、腐敗などに対する批判精神と、新たな制度設計に挑戦する創造力だった。

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