「獺祭」を日本一にした"掟破り"PDCAの秘密 四季醸造やクラウド導入には深いワケがある

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旭酒造の「おきて破り」といわれる経営手法とは?
「杜氏不在」「酒米の77%を削る」「1年中造り続ける」など、日本酒業界の常識を破る酒造りで、純米大吟醸酒「獺祭」を売上日本一に押し上げた旭酒造(山口県)の創業者であり、『勝ち続ける「仕組み」をつくる 獺祭の口ぐせ』の著者でもある桜井博志会長に、「おきて破り」といわれる経営手法について語っていただきました。

地上12階建ての巨大な酒蔵でやっていること

私たち旭酒造の酒造りは、これまでも酒造業界から「おきて破り」と言われてきました。確かに、さまざまな面で一般的な酒造りとは違う面があるのは事実です。

たとえば酒蔵。一般的なイメージとの違いに驚かれることがよくあります。

2015年に完成した酒蔵「本蔵」は、地上12階建てのビルという大きな建物です。山口県で4番目に高いビルだそうです。酒蔵といえば木造の歴史ある建物をイメージする人にとっては、「こんな近代的な建物で酒造りをしているのか……」と意外に思えるかもしれません。

2015年に完成した酒蔵「本蔵」

写真の手前にある趣深い建物のほうが、よっぽど一般的な酒蔵のイメージに近いかもしれませんが、これは小学校の建物です。

このようなビルの酒蔵となったのは、当社が山の谷間にあり、近くに大きな酒蔵を建てられるような平地がなかったからです。建物を上に伸ばすしか方法がなかったのです。

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