日本人はいま、絶滅の危機にさらされている 不妊治療の現場で30年、ベテラン医師の見解

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30年以上不妊治療の現場で活躍する詠田医師に話を聞きました(写真:ふみ / PIXTA)
「西暦2500年、日本の総人口は1000人を切るという説があります」。そう語るのは、福岡にあるアイブイエフ詠田クリニックの詠田由美院長。日本の不妊治療を黎明期からリードし、アメリカ生殖医学会において日本人女性で初めて座長になった人物だ。
30年以上にわたり不妊治療の最前線で活動してきた詠田先生に、冒頭の衝撃的な発言の根拠や、少子化の現状などについて話を聞いた。

 

このままでは日本人が「絶滅」する?

――西暦2500年に日本の人口は1000人を切ると聞き、大変ショックを受けました。

産婦人科医の間では、以前から講演などで語られている話なんですよ。このままのペースで少子化が進めば、西暦2500年に日本の人口は1000人を切る。こうなれば日本人は希少種となり、やがて絶滅する可能性も否定できません。

――その根拠や背景を教えてください。

国勢調査などのデータをもとに人口と出生率から算出されるもので、いくつかの推計があります。そのひとつで最悪のケースとして考えられるのが「2500年に1000人を切る」という説です。

ほかにも、国立社会保障・人口問題研究所は、2010年国勢調査等に基づき全国将来人口推計を行っています。これによると、日本の人口は2010年1億2806万人から、2048年には1億人を割り、2060年には8674万人になると。つまり今後50年間で人口が32%ほど減少する計算です。

人口減少の要因は、大きな社会問題となっている少子化。1人の女性が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率という指標があり、男女2人から生まれる子どもが約2人なら人口は横ばいですが、日本では1975年に2を割り、ここ数年は1.4前後で推移しています。

あわせて人口動態調査をみると、1974年に日本で生まれた子は200万人以上でしたが、2014年は100万人ほど。この40年で半減しており、さらに2050年には50万人になると予想されています。(参考データ:全国将来人口推計合計特殊出生率合計特殊出生率推移人口動態調査

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