ミスターミニット「ダメ会社」が再生した理由 「主演・脚本・監督、俺」の29歳社長の変化とは?

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ファンドから採用されて弱冠29歳の迫俊亮氏が社長に就任してから、3年ほどで業績が回復したミスターミニット。写真はモノレール浜松町店(写真:ミスターミニット提供)
靴修理などのサービスを国内約300店で手掛ける「ミスターミニット」。いまや誰もがよく知るお店だ。が、その知名度とは裏腹に、同チェーンを運営するミニット・アジア・パシフィック社(以下、ミスターミニット。東京都・台東区)は、ほんの数年前まで典型的な“ダメ会社”だった。経営者と現場が乖離し、離職者が続出。業績は10年間にわたって右肩下がり。
それを3年余りで上向かせたのが、ファンドから採用されて2014年に弱冠29歳で社長に就任した、迫俊亮氏だ。“落下傘社長”はどのようにして現場社員たちの心をつかみ、会社を立て直していったのか。
「現場力」を提唱した第一人者で、経営コンサルタントの遠藤功氏を迎え、迫氏率いるミスターミニットの現場を活かす力に迫った。
(※本記事は、2017年4月3日に行われたディスカヴァー・トゥエンティワン × アカデミーヒルズ 『リーダーの現場力』出版記念セミナーを再構成したものです)

ファミマ澤田社長に「うざい」と一蹴

遠藤:今回、迫さんから『リーダーの現場力』というタイトルの本を送ってもらって、正直驚きました。私は、迫さんが(前職である)マザーハウスにいた頃から面識がありますが、私がマザーハウスで見た迫さんは「自分が頑張る」系の、一人称が“I”の人でしたから(笑)。それが、“We”の人に変身していた。

:そうですね、はい(苦笑)。ミニットの社長になった当初もまだ、一人称が“I”の私を引きずっていたんです。自分がいかに成功するかばかり考えていて……。「いい戦略を考え、そのとおりに実行しさえすればうまくいくんだ」という甘い考えもありました。

ところが、アドバイザーに就いてくださったファミリーマート代表取締役社長の澤田貴司さんとはじめてお目にかかったとき「こういう課題に対して、こういう戦略を、こういうマイルストーンを打って解決していきます」と話したら、すごく嫌そうな顔で一言、「うざい」と。

会場:(笑)

:「外から入ってきた29歳が正論を言ったところで、どうせ実行されないだろう。君がすべきは、自分がやりたいことを押しつけるのではなく、社員がやりたいことを実現することだ」と指摘されて。それがストンと腹に落ちたんです。

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