JASRAC「金額の問題ならば交渉に応じる」 どうなる?楽器教室「著作権使用料問題」

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東京・代々木上原にあるJASRAC本部(写真:編集部)
日本音楽著作権協会(JASRAC)が、2月2日に、楽器の演奏を教える民間の音楽教室から著作権使用料を徴収する方針(包括契約の場合、授業料収入の2.5%)を明らかにしたことが、波紋を呼んでいる。
JASRACは今のところ、2018年1月から徴収を始める考えを示しているが、楽器教室側は反発しており、「技術指導や教育目的で行う演奏で、使用料を払う理由はない」と徹底的に争う姿勢を見せている。業界大手のヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所などは、2月3日、JASRACの方針に反対する「音楽教育を守る会」を結成し、使用料について「債務不存在」を確認する民事訴訟も辞さないとしている。
ここまでこじれている状況について、JASRACはどのように考えているのか。大橋健三常務理事に話を聞いた。

「JASRACは訴訟を望んでいない」

ーー「音楽教育を守る会」は、民事訴訟も選択肢としていて、「教育目的の演奏に、使用料は発生しない」ということについて一歩も引かない構えのようです。

ヤマハや河合楽器のような楽器メーカーが、学校教育とは違うレベルで音楽文化の普及に果たしてきた功績は、敬意を表するものです。しかし、「音楽文化が廃れてしまうのではないか」という世論の風潮に乗る形で訴訟という拳を振りかざしているとしたら、それはないんじゃないかと。

法廷闘争云々という言葉をお使いになっている以上、こちらも対応する必要がありますので、弁護団と様々な相談をしています。ただ、お互い手間暇かけて世間を賑わしたところで、不毛だと思っています。JASRACとしては、訴訟は全く望んでおらず、話し合いで円満に解決したい。

そもそも、2004年に、名古屋高裁で社交ダンス教室内のレッスンでの音楽利用が、著作権法22条の「公の演奏」に該当することが認められています。最高裁が上告を棄却したことで、確定されているのです。公衆がいる場所であれば、鑑賞しているかどうかは関係ない。また、誰から見て「公衆」かと言えば、運営事業者から見た場合です。生徒さんが1人だけレッスンを受けている場合であっても、それは「公衆」になります。

これは、すでに法曹界での常識と言っていい考え方です。これを覆すということであれば、相当なエネルギーが必要になると思います。

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