セミナーレポート

経営効果と付加価値をもたらす、
先進的ロジスティクス
日本の物流戦略の現状と課題、最新トレンド

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【講演2】
日立物流が推進するスマートロジスティクス

日立物流
理事 東日本統括本部
首都圏営業本部 副本部長
西川 和宏

ニーズの多様化などに対応するため、日立物流は同社が持つ物流ノウハウと日立製作所研究開発グループの新テクノロジーを合わせ、スマートロジスティクスという新技術を開発している。3PL、重量・機工、フォワーディングという事業を有機的に連携させ、途切れのないサービスを提供するのがスマートロジスティクスのコンセプトであり、それを支えるのが、スマートロジスティクス・コンフィギュレータ(SLC)、スマートウェアハウス(SWH)、スマート物流コックピット(SCP)という三つの技術である。

西川氏はそれらを説明した上で、SWHを中心とした開発事例を紹介した。それによるとSWHは高効率運営のための技術の総称であり、顧客への付加価値提供を目的として物流ビッグデータと人工知能(AI)の融合などにも取り組んでいる。「ある物流センターでのAIを活用した実験では作業生産性を約8%向上させる効果があった」とし、さらにロボットや可視化技術を駆使した実例も動画で説明。日立物流が考える物流の将来像を示し、同社の技術が「これからの物流のキーテクノロジーになる」と語った。

【特別講演】
持続可能な社会と企業の実現に向けたサプライチェーンからのアプローチ

スターバックス コーヒージャパン
サプライチェーン本部 本部長
中川 喜仁

スターバックスが北米以外の地域で最初に出店したのは日本だったこと、現在、日本では1131店舗(15年9月末日現在)を展開していることなどを紹介した後、中川氏は同社のサプライチェーンについて話し始めた。

同社のサプライチェーンは、購買部、物流計画部、品質保証部で構成されている。その改善については、前工程にまでさかのぼって取り組んでいる。また、同社の持続的成長に向けたサプライチェーンとしてのロードマップは、創設期、成長期、発展期の3ステージに分けられ、現在は発展期にあると位置づけている。この発展期では、構造的アプローチとしてネットワークの最適化を大きな目標として掲げている。そして2006年以降、3PLと店舗とともに取り組んだ様々な改善活動を通じて、1日1店舗当たりの物流費を約20%削減することに成功したという。

また同社は、取引先や地域、あるいは材料の原産地などとのつながりを重視しており、コーヒー豆かすを牛の飼料や堆肥として再利用し、ここから得られた牛乳や野菜を店舗で販売する商品の原材料として活用する試みを推進するなど環境についても積極的に取り組んでいる。店舗のお客様のみならず、そうした様々なステークホルダーとの「つながりと満足」を醸成するカルチャーが、企業価値向上と持続的成長の原動力になっていると語った。

【講演3】
物流不動産に求められる課題に対応したGLPの開発戦略と今後の事業展開について

グローバル・ロジスティック・プロパティーズ
投資開発部長 兼 事業開発部長
塩田 徳隆

日、中、米、ブラジルの各国で事業を展開しているGLPは、物流施設の新規開発に加え、既存物流施設の取得やリノベーションを行っている。企業の概要紹介としてまずそうしたことを語った塩田氏は、これからの物流施設に求められるものとして、オペレーションの複雑化への対応、労働力の確保、365日・24時間のオペレーション、環境への配慮という四つを挙げた。

その上で、同社が現在開発中の「GLP流山」について触れ、都心から25kmで常磐道の流山インターからも近く、建物は免震構造であることなどを紹介した。さらにGLP流山は工場、物流施設、配送ターミナルを一体化することにより生産から配送までを含めたサプライチェーンの統合を実現した施設であること、託児所やコンビニ、カフェテリアの設置など働く人々の労働環境を整備するとともに人材派遣会社と提携して顧客の雇用の確保も支援するなどソフト面の充実を図っていること、また太陽光などのクリーン電力の採用、LEED認証の取得を目指すことなど、先に挙げた4点すべてに対応していると語った。そして今後も物流の効率化をサポートするため同社は今後も年間4〜6棟のペースで新しい物流施設を開発していく計画であると述べて、講演を終えた。
 

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グローバル・ロジスティック・プロパティーズ株式会社
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