あのGALA湯沢が今になって活況に沸く理由 アクセスの良さだけじゃない集客増の秘密

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関東パスのエリアにガーラ湯沢駅を加えるのは、おかしいかもしれない。だが、外国人旅行者はそう思わないようだ。

「ニューヨークにはナイアガラの滝に行く日帰りツアーがある。『せっかくニューヨークに来たのに、なぜナイアガラの滝に行くのか』と現地の人は思うだろうが、旅行者はニューヨークとナイアガラの距離を気にしない。それと同じです」(JR東日本の関係者)

このきっぷの英文サイトを見ると、距離的に遠いことを示す「新潟県」という地名はどこにも書かれていない。むしろ「75分で行ける」という時間的な近さをアピールしている。

だとすれば、GALA湯沢が東京近郊にあると思い込み、3日間のうち1日は足を伸ばそうという外国人がいてもおかしくない。専用きっぷの料金は3日間で1万円なので、東京―ガーラ湯沢間が往復1万3140円かかることを考えれば、料金的にもお得だ。

日本人客とのすみ分けにも成功

さまざまな面で日本人客と外国人客のすみ分けが進んでいる

「早朝からスキーを楽しむ国内のお客様と違い、外国のお客様はホテルでゆっくり朝食を取ってからお越しになるので、スキー場への到着もゆっくりになります」(GALA湯沢)

これが、普段なら空いているはずの昼間の時間帯にスキーセンターが混雑していた理由である。日本人客と外国人客で受付時間の分散化が自然と図られているのだ。

ゲレンデでも分散化の状況が垣間見える。GALA湯沢を訪れる外国人を国別に見ると、オーストラリア、タイ、台湾が多いそうだ。雪を見るのは初めてという人もいるだろう。

GALA湯沢では、外国人向けにかまくら体験、雪だるま作り、雪見温泉、さらには日本古来の「かんじき」を履いての雪山散策といったプランを用意している。外国人客全員がスキーやスノボを楽しむわけではない。スキー場が必要以上に混雑することがないのだ。

今シーズンは暖冬による雪不足で多くのスキー場が苦戦している。GALA湯沢も1月8日時点で一部のコースが滑走不可となるなど、暖冬の影響と無縁ではない。とはいえ、雪遊びを楽しみたい外国人にとって、暖冬は関係ない。GALA湯沢の快走は今シーズンも続きそうだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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