あのGALA湯沢が今になって活況に沸く理由 アクセスの良さだけじゃない集客増の秘密

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山頂からは別のゴンドラやリフトを使って、隣接する湯沢高原スキー場や石打丸山スキー場と行き来できる。「三山共通リフト券」を使うことで多彩なコース選択ができるようになっている。

スキーブームの絶頂期にオープンしたこともあり、開業から数年間の入場者数は36万~37万人と上々だった。が、ブーム終焉をきっかけに、1993年以降、入場者数はじわじわ減少した。さらに、工事費の高騰によって初期投資の額が当初計画より膨らみ、「惨憺たる経営状態となった」(山之内氏)。

1997年には温泉や温水プールを備えた温浴施設を設置してテコ入れをもくろんだが、累積債務の解消にはほど遠かった。結局、JR東日本は1999年に運営会社の清算に踏み切り、運営会社への貸付金・出資金など91億円を子会社整理損として計上した。

新会社の出直しが成功したワケ

新幹線の収入を考えると、GALA湯沢の効果は小さくない(写真:usuiabt / PIXTA)

もっとも、スキー場単体の経営は厳しくても、新幹線収入を考えるとJR東日本のうまみは小さくない。これは直近のデータからもうかがえる。

ガーラ湯沢駅の1日平均乗車人員は1440人で、東北新幹線・北上駅の1399人を上回る。「新幹線直結型のスキー場として鉄道事業への貢献も大きい」(JR東日本)。そんな理由から、新会社を設立して経営の健全化を図ったうえで、スキー場の営業を継続することにした。

とはいえ、落ち目のスキー場を立て直すのは簡単ではない。その後も入場者数の落ち込みは止まらず、入場者数は2006年度に16万人まで減少した。

だが、そこから増加に転じ、2012年度にはついに30万人台に回復した。回復の理由としてまず挙げられるのは、2007年から団塊世代が定年退職して、再びスキーを楽しむようになったこと。さらに、「1990年代にスノーボードを始めた世代が結婚して子供もできて、今度は家族そろってスノボを楽しんでいる」(GALA湯沢)ことも大きい。

こうした状況は、日本全国どのスキー場にも共通するものだ。ただ、入場者を大きく押し上げた要因になったという話は、ほかのスキー場ではあまり聞かない。ガーラ湯沢だけ入場者が増加している背景には、「交通アクセスのよさ」があるのかもしれない。

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