【産業天気図・パルプ・紙】原燃料価格下落による値下げが利益圧迫し、「曇り」続く

予想天気
  09年4月~9月   09年10月~10年3月
 

2009年度の製紙業界は相変わらず曇りが続くが、内容が大幅に変化している。

昨年後半からの原燃料価格下落、需要の低迷と、製紙業界を取り巻く環境は激変している。過去4年間苦しめられてきた原燃料価格高騰が反転したこと自体は好材料だ。4年間で日本製紙グループ<3893>で1800億円にものぼったコストアップ要因が、大幅に解消されるばかりでなく、ここ2年間で実施した値上げも、いまだコストアップ額には届かないものの高値在庫が徐々にはけて来たために、効果が現れ始めている。

一方で、新たな難題が降りかかっている。需要の後退だ。過去30年間というもの、バブル崩壊時も10年不況の時ですら前年対比98~102%程度の需要水準を維持し、電子化、少子化の影響も表面化してこなかった。

それが「今回の不況によって(需要後退が)一気に進んだ」(大手紙専門代理店)。昨年9月に王子製紙と日本製紙グループで始まった塗工紙の減産は徐々に拡大し、12月までに2社は50%減、その他大手も全社減産に踏み切っている。

当初は7月の値上げによる一時的な需要減によってメーカー在庫と市中在庫が2ケタに増えたため一時的な在庫調整に過ぎず、12月まで、年産5%内外の減産ですむと考えられた。だが、メーカーの買い上げなどで市中在庫は多少なりとも改善してきたものの、実需がさっぱり回復してこない。塗工紙の主要な需要は、自動車や家電製品、マンションなど住宅のパンフレットやカタログ、取扱説明書など。そのすべての業界で前年対比半減というレベルの大幅な需要減退が起こっているのだから、当然の結果といえる。

さらに、不況時でも変動が比較的少ない小売業のチラシ減退も追い打ちをかける。

加えて、原材料価格の下落を盾に需要家からの値引き要求も圧力が強まっている。先んじてレンゴー<3491>、続いて王子板紙<3861>が、板紙で5円/kgの値下げを発表したが、塗工紙など、洋紙分野にも広がってくる可能性が高い。

ただし、シェアを落とさないためのメチャクチャな値下げ競争は起こらないと見られる。値下げしても値上げはしない、というのが長年の紙業界の常識だった。これを赤字スレスレまで行きながらようやく覆した原燃料高時の教訓を各社とも忘れていないからだ。「値下げはあるとしても原燃料価格低下に見合った合理的な範囲」(王子製紙)。「会社四季報」春号では各社の来10年3月期予想については、洋紙の値下げは織り込んでいないが、あっても数百億円に上るような利益減額には至らないと見られる。

(小長 洋子)

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