電気自動車(EV)は破壊的イノベーションになる!? プリウス、インサイトはもう古い 

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3度目の正直? 電気自動車に脚光

もう一つのE‐FLEX車であるEVも再び舞台の中心に躍り出てきた。EVは過去2回、大きな挫折を経験している。一度目は100年前--意外かもしれないが、排気をまき散らしクランク操作も難しいガソリン車より、EVのほうが当時は優勢だった。GMやフォードの社名に「モーター」が付くのはその名残ともいわれる。だが、T型フォードに代表される大量生産方式の開発や石油価格の下落でEVは姿を消した。

二度目は1990年代。石油枯渇懸念の高まりや公害問題を背景に、米カリフォルニア州大気資源委員会が「州内で生産する自動車の10%を無公害車(ZEV)にせよ」とブチ上げたのだ。これを受けてGM「EV1」、トヨタ「RAV4EV」など多くのEVが生まれた。

日産自動車でEVプロジェクトにかかわる牧野英治・企画室主管は2000年の米国赴任当時乗っていた「アルトラEV」を懐かしく思い出す。「とにかく静か。朝どんなに寒くても排ガスが出ないから気持ちいい。近所の子どもたちを乗せて学校へ送っていくと『これは何ていう車? 』と注目の的だった。ただ航続距離は公称の120マイルにはとても行かなかったけれど(笑)」。

加州のZEV規制は周囲の抗議をのむ形で大幅緩和され、EVブームも自然消滅した。それから約10年。「PHEVに比べて航続距離が短すぎる」「EV用充電ステーションを造る投資コストが莫大すぎる」といぶかるメーカーがまだ多い一方で、三菱自動車と富士重工業は今年中にEVを発売し、日産は一から設計した新型EVを10年から日米に投入する。「われわれはゼロエミッション車(車からのCO2排出ゼロ)でリーダーになる。PHEVだと実際は充電しないでガソリンで走る人も多いのではないか。それではゼロにならない」(牧野氏)。当然、V2Gも念頭にある。「使い終わった電池を他の用途にどう転用すべきかとか、いろいろ考えている」(同)。


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