恐慌から脱出するために必要な4つの政策とは--ブラッド・デロング カリフォルニア大学バークレー校教授


 経済が恐慌に陥ったとき、政府は雇用を通常の水準にまで回復させ、生産を“潜在的な能力”の水準にまで引き上げるために四つの政策を採用することができる。すなわち「財政政策」「貸し出し政策」「金融政策」「インフレ政策」の四つである。

そのうちインフレ政策は最も簡単に説明できる。すなわち大量の銀行券を印刷し、それを使うことである。経済実態が変わらないのに現金が余剰になれば、物価は上昇するだろう。

物価が上昇すれば、人々は現金をたんす預金にしたり、銀行の口座に預けっぱなしにしようとは思わないはずだ。なぜなら現金の価値は物価上昇に合わせて下がっていくからである。したがって人々は資産を守るために減価する現金をもっと価値のある実物資産に移そうとし、消費するペースも速めるだろう。こうして消費が増加すれば、失業者は職に就くことができ、工場の設備の稼働率も通常な水準にまで上昇し、生産も“潜在的な能力”の水準にまで増加するだろう。

しかし、分別のある人なら、インフレを避けようとするものだ。インフレ政策は非常に危険な冒険であるからだ。インフレは、一般的な価値の基準である通貨価値を歪め、経済的な計算を実質的に不可能にし、富の再配分を混乱させる。ケインズが言っているように、「既存の社会の基礎を覆す手段として通貨を減価させる以上に明快かつ確実な方法は存在しない。インフレの過程で経済のすべての法則を覆す力が働いて破壊を引き起こす」のである。

しかし、政府は経済が大恐慌に陥る事態になれば、インフレ政策に訴えるだろう。もちろん雇用と生産を回復させる別の手段があるなら、インフレ政策を講じないで済ませるほうがはるかに好ましいのだが。

初期段階の恐慌と闘う標準的な政策は、二つ目の政策手段である金融政策を発動することである。雇用と生産が落ち込む懸念が出てきたら、中央銀行は国債を購入し、迅速に現金を市場に供給する。それによって資本市場で安全資産の量が減り、安全資産の価格は相対的に上昇する。これは資金が企業の設備投資資金に向かいやすくなるという効果をもたらす。

企業は将来を見据えた支出を増やすことで、失業者を救い出し、生産設備の稼働率を引き上げることができるのである。また、企業は現在の株主に配当すべき資金を設備投資に使うことで、将来の株主に報いる、つまり将来の株価の改善にもつなげることができる。

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