スバル、ブームにもブレない車作りの信念 安全技術で先行、自動運転で何を目指すのか

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売れ筋車種の一つ「レガシィアウトバック」。スバルのフラグシップSUVだ(撮影:今井康一)
富士重工業(ブランド名:スバル)が世界で販売する台数は95万台。国内乗用車メーカーの中で最も少ない。しかし、北米重視の戦略転換が的中し、ここ数年は供給が追いつかないほどの人気を獲得。2015年度の営業利益率は17%を見込み、トヨタの10%を凌駕している。順風満帆のスバルに死角はないのか。「週刊東洋経済1月9日号」では、吉永泰之社長のインタビュー記事を掲載。ここでは、技術担当の武藤直人取締役専務執行役員のインタビューをお届けする。

普遍価値である安全性を大事にする

――今の人気がブームで終わる可能性もある。将来への不安感はあるか。

たしかに絶好調だから怖い。自動車業界で技術や商品を担当していると、デザインは時代の流れではやり廃りがある。それに比べると、安全性という価値は普遍的。スバルの車は安心で安全ということを理解してもらえれば、今のスバル人気を確固たるものにできる。

大事なことは、安全性に自信があってもそれを自分たちの口で言わないこと。第三者から評価されることが大事で、スバル車は実際に独立行政法人の自動車事故対策機構から最高ランクの評価をもらっている。

――自動ブレーキ等の安全運転支援技術「アイサイト」がスバルの安全性の代名詞になっている。

安全性を担保するには、予防安全技術のアイサイトよりも、衝突安全性(実際に衝突事故が起きたときにケガを軽減する車台構造)の方が実際は重要だ。ただ、スバル車に乗ったことがないお客さんに対して、単純に「スバル車は衝突安全性が高いです」と言っても伝わらない。そこで、分かりやすいキャッチコピーである「ぶつからない車」と銘打ってアイサイトが誕生した。

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