【産業天気図・精密機器】09年度通じて「雨」が続く。特に前半は土砂降り状態

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予想天気
  09年4月~9月   09年10月~10年3月

精密業界の2009年度前半および後半の天気は、ともに雨。特に前半は土砂降り状態となりそうだ。
 
 円安を追い風に絶好調だった07~08年度前半から一転、目下精密業界は全産業中でも屈指の厳しい情勢下に置かれている。09年1~3月は実需の低迷に加え、需要急落によって在庫(市中在庫を含む)が膨張しており、各社ともその調整に追われている。そのため工場稼働率は軒並み5割を切るなど、生産は極めて低調に推移している。
 
 4~9月以降はこの在庫調整が一段落し、改善に向かっていく見込み。だが、実需の回復は鈍い。もっとも、複写機、レーザープリンターなどの事務機器は、すでに設置済みの機械から得られる消耗品収入があり、落ち込み幅は比較的緩やかとなる見込み。
 
 一方で、ここ数年好調を謳歌していたデジタルカメラは厳しくなる。今09年3月期はデジカメ下位メーカーのHOYA<7741>、富士フイルムHD<4901>のほか、オリンパス<7733>、カシオ計算機<6952>などの中堅メーカーでも事業赤字がほぼ確実。コンパクトデジカメ市場は台数ベースで09年7~8%程度のマイナス成長が見込まれ(08年実績は13.8%増。カメラ映像機器工業会調べ。ただし、09年予測は「東洋経済オンライン」推定)、来10年3月期以降も赤字が続く可能性が大だ。
 
 産業機械も厳しい。ニコン<7731>、キヤノン<7751>が手掛ける露光装置は、半導体製造用、液晶パネル製造用ともに大不振。もともと需要サイクルにより、年ごとの変動が大きい事業ではあるが、半導体用、液晶用ともに悪いという年は過去になかった。それだけに、今年は大きな落ち込みが不可避。特に全社営業利益の2~3割を露光装置が占めるニコンでは、影響が大きくなるだろう。
 
 なお、08年度前半以降、精密企業の業績に大きなインパクトを与え続けてきた為替は目下1ドル100円近くまで戻ってきている。12月期決算のキヤノンの08年度平均為替レートが1ドル103円であるなど、各社の08年度為替レートは100円前後となる見込みで、このままの状態で推移すれば、為替が各社の09年度業績に与える影響は限定的になると見ている。

(桑原 幸作)

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