「ミニマリスト」に執心の夫と離婚できますか 価値観の折り合いをつけるのは難しいが…

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「おそらく、ミニマリストに執着している夫と、それを理解できない妻とで、価値観の折り合いをつけるのは難しいのでしょう。ただ、いきなり離婚へと突き進むのは性急です。

まずは夫婦で話し合い、たとえば、夫が立ち入れない、妻のプライベートな部屋をもうけるなど、一つ屋根の下でも共存できるギリギリの方法を提案してみてはどうでしょう。

それさえも認めないなら、もはや離婚するしかないと夫に提示し、その後で、離婚を考えても遅くはありません」

話し合いで決着がつかない場合は、どうすればいいのだろうか。

「最終的には、裁判所に判断してもらうことになります。その場合、ミニマリストの夫との価値観の不一致が、裁判上の離婚原因の一つである『その他婚姻を継続しがたい重大な事由』(民法770条1項5号)に該当するかどうかが審理されます」

審理のポイントは何になるのだろう。

「夫婦関係が破綻した」といえるか

「価値観の不一致により、ともに協力して同居生活を送ることができなくなり、夫婦関係が破たんしたといえるかどうかがポイントです。

夫に対して『困る』と言いつつも一緒に暮らし続けていて、家庭内別居といえる事情も見受けられないとすれば、夫婦関係が破たんしているとは言えず、裁判では離婚が認められないかもしれません。

いっぽう、同居していても、もはや生活がくっきり切り離されていることが明らかで、かつ互いに歩み寄りの余地がない場合には、裁判で離婚が認められる可能性があると思います」

柳原 桑子(やなぎはら・くわこ)弁護士
1998年弁護士登録 第二東京弁護士会所属。離婚事件・遺産相続事件などの家事事件、破産事件、不動産関係事件等を中心に、民事事件を扱っている。「離婚手続きがよくわかる本」、「よくわかる離婚相談」、「相続・贈与・遺言」監修(いずれも池田書店)。
事務所名:柳原法律事務所

 

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