思わぬ“副産物”もあった。耐水性を追い求めた結果、ダウン内の気密性が高まり、少ないダウン量でも十分な保温性が生まれた。
これにより、軽量で細身のシルエットが実現した。ステッチ部分からダウンが抜け落ちることもなくなった。
幸いにも、デサントはダウンの生産に適した自社工場を有していた。長らくスキーウエアを生産していた水沢工場である。「水沢ダウン」という名前も、工場名に由来している。
近年はウエアの生産が海外にシフトしたため、水沢のラインは稼働していなかったが、羽毛を詰める設備とシーミング(防水テープを貼る工程)のノウハウを持つ、国内では数少ない工場だった。水沢ダウンはこの工場の職人により、1つ1つ手作業で作られている。羽毛はグラム単位で計測し、手で詰めるというこだわりようだ。
開発に1年半を要したダウンジャケットは、2008年に市販された。当時の価格は約7万円。デサントのアウターの平均価格が2万円なので、3.5倍の値段だ。「開発当初は販売を目的にしたものではなかった」(山田ディレクター)が、抜群の保温性とデザイン性が支持され、普及していく。発売当初、数百着だった生産量は、7年間で20~30倍に伸びた。
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