27年開業なるか?リニアの行く手阻む最難関

全長25㎞の「南アルプストンネル」が着工

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南アルプストンネル山梨工区の「早川非常口」。山深い谷間に位置する

南アルプストンネル山梨工区の工事拠点となるのは、山梨県南西部の早川町。2015年12月1日現在の人口は1124人で、「日本で最も人口の少ない町」として知られる山あいの静かな町だ。

同町内には南アルプストンネルの2カ所の「非常口」が設けられる。工事はこの非常口の斜坑をまず掘り進め、その後に将来リニアが走る本線の掘削に入る。

今回、安全祈願の式典が行われたのは「早川非常口」。町名の由来となった早川沿いを走る山梨県道37号を、町役場から十数km北上した地点だ。ここにたどり着く少し手前には「国指定天然記念物 新倉の糸魚川—静岡構造線」という看板が目に飛び込んでくる。

「糸魚川—静岡構造線」は、新潟県の糸魚川市から長野県・山梨県を経て静岡市に至る、本州を横断する大断層だ。断層が地表に露出した部分である「露頭」が観察できるため、天然記念物に指定されている。リニアのトンネル工事は、まさに地質の複雑さを物語るこの場所の付近で進められることになる。

トンネル難工事で工期延長の不安も

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早川非常口手前の道路。上を通るのが県道で、早川非常口は旧道に面している

JR東海が2013年9月にまとめた「中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価準備書」によると、同社は1990年から南アルプスを通過するルート周辺の地質調査を実施。「これまでの長大トンネルにおける事前調査としては先例のない規模での水平ボーリング」なども手掛けてきたという。

その上で、これまでに得た地質性状や、上越新幹線の大清水トンネル(群馬県・新潟県)、東海北陸自動車道の飛騨トンネル(岐阜県)の施工実績から判断して、「施工可能であると考える」と結論づけている。

飛騨トンネルとは、近年でもっとも難しいとされたトンネルだ。延長約10.7kmの同トンネルは土かぶりが最大約1000m。高圧で大量の湧水や土かぶりによる土圧によって工事は難航。開通は計画より約3年8カ月遅れ、開業までには11年1カ月を要した。

山岳トンネルは「掘ってみないとわからない」部分が多いといわれ、計画よりも工事期間が延びた例は決して少なくない。南アルプストンネルの工期が延びれば、必然的にリニアの開業時期にも影響することになる。

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