岐路に立つドコモ、1位なのは「契約数」だけ 起死回生の道はあるか

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無料通話アプリの普及などで1契約当たりの音声通話収入は02年度の6380円から、11年度には2200円まで落ち込んだ。音声通話の減収分を補おうと力を入れるM&Aでは「メディア・コンテンツ事業」や「コマース事業」など新領域の売上高を現状の4000億円から15年度に約1兆円へと拡大しようというのだ。

これまでに、有機野菜宅配の「らでぃっしゅぼーや」、「タワーレコード」に出資。オムロンや角川書店とも合弁を組むなど提携を加速。欧州でモバイル向けの決済やコンテンツ配信を手掛けるイタリアの「ボンジョルノ」に約200億円を投じ海外への布石も打っている。商材に関しては「百貨店のように何でもあっていい」(加藤社長)としており、今後も多くの分野での投資を予定する。

ドコモはこれらの買収で得た商材をスマホの「dマーケット」で販売する計画だ。従来型携帯電話の「iモード」では販売額の9%が手数料としてドコモの売上高となったが、「dマーケット」は直販サイトのためサイトの売上高がまるまるドコモの売り上げに直結する。

しかし、「アマゾン」や「楽天」など先行者が多く競争が激しいeコマースの世界でドコモに勝ち目はあるのか。スマホのサービス分野を統括する阿佐見弘恭・執行役員は「ドコモには利用者の年齢などの基本情報に加え、決済機能となるクレジット番号や銀行口座のデータもある。趣味や嗜好も分析可能で顧客の嗜好に合った商品を提供できるなど大きな強みがある」と期待する。

通信会社が顧客の購買履歴などを確認することは電気通信事業法で定められた「通信の秘密」に違反するが、「dマーケット」では可能になる。ドコモユーザーが携帯電話契約の際の同意書で性別や年齢、購買履歴を利用することに同意しているためだ。これらの情報分析で顧客のニーズに近い商品を薦めるなど、より実売に結び付きやすいサービスが提供できるとする。

 

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