泥沼訴訟で笑うのは? 過熱するスマホ特許戦争 アップルVS.サムスン 

拡大
縮小

 ではこれでサムスンが土俵際に追い込まれたのかといえば、そうではない。かつてソニーの知的財産担当役員を務め、現在、特許プール会社のアルダージを経営する中村嘉秀氏は「この裁判はアップルのiOS対グーグルのアンドロイドのビジネスモデルをめぐる戦いと見るべき」と指摘する。

「仮にアップルが負け、和解して安い特許料をお互い払うとの決着にでもなればアップルは不利になる。アンドロイド陣営はメーカー数が多いだけに、アイフォーンがアンドロイド陣営にのみ込まれてしまうおそれがある。そのためアップルはいかなる権利を使ってでも負けるわけにはいかない」。

識者の間では「サムスンは今後、陪審判断の否決を求めると同時に、上告するとみられ、最終的には最高裁まで行く可能性もある」(特許権に詳しい、米ビラノーバ大学法学部のマイケル・リッシュ准教授)との見方が大勢で、裁判の長期化は必至。その間スマホには特許で保護された新しい技術、機能が加わり、アップルの意匠権の重要性は、相対的に薄れていく。長期化するほどアンドロイド陣営にとっては有利なのだ。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT