アディダスなきデサント、16年越しの復活劇 旗艦ブランドの穴をどうやって埋めたのか

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韓国ではシューズが売れ筋

日本では販売シーズンに入る前にすべての商品企画を終えるが、韓国では全商品の3割を期中に企画・投入した。会議を毎週開き、売り上げデータを細かく分析。派手な色合いを好む現地のニーズにあった商品を展開した。

2009年には、満を持して自社ブランドのデサントを投入。翌2010年には、韓国人では初めて金勲道氏が現地法人の社長に就任した。

金氏は日本の大学を卒業し、韓国の販売会社に勤務した経歴を持っており、日韓両方の事情がわかる人物。現地の著名人を使った広告宣伝などにより、ブランド力を高めていった。

韓国ではスポーツカジュアルがファッションとして根付いているため、日本よりスポーツシューズの人気が高い。2012年秋には釜山に研究開発拠点を設け、韓国で販売するシューズは現地仕様を徹底した。スポーツウェアで知られる日本と異なり、韓国ではシューズの売上比率が3割に達するようになった。

次なる狙いは欧州市場

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韓国での成功体験は他国でも通用するか

こうして韓国で一定の地歩を固めることに成功したデサント。次なる開拓先として狙いを定めるのは、かつての盟友・アディダスの牙城である欧州市場だ。

グループ売上高の3分の1を占めるまでに成長したデサントは、保有ブランドの中で唯一、販売エリアの制限がない。2015年11月には、同ブランドとして欧州初となる店舗をロンドンに開業した。2016年末までに欧州域内に5店舗を展開する計画だ。

韓国での成功体験を糧に、アディダスのシェアを切り崩していけるか。スポーツビジネスの本場・欧州で、16年越しの復活劇の真価が試されることになる。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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