株式市場の分岐点は1月12日と3月11日だ 2016年の日経平均は1万8000~2万3000円

拡大
縮小

上場企業全体では、2016年3月期通期で連続最高益が見込まれています。2月に発表される2015年10-12月期決算では旺盛な北米需要や、これまでの原油安を追い風に上方修正する企業が増加するとみています。商品市況の底打ちが中国株式市場を底上げし、東京市場でも中国関連銘柄の上昇の追い風になる公算が大きい。停滞感が続く国内景気は10-12月期には在庫調整が一巡し、輸出や生産の増加によってプラス転換が見込まれています。中国人観光客を中心としたインバウンド需要を含め、消費からも下支えする構図が続く見込み。

インフラ需要が経済を下支え

一方、年後半は米国景気の頭打ちを背景に株価は調整局面(とはいっても、株価はアベノミクスラインを維持しながら高値もみ合い)を迎えそう。米国の利上げによる米国経済への下押し圧力が顕在化する可能性が高い。米自動車販売や住宅販売などの減速につながり、日本からの輸出減少につながる。欧州経済・中国経済も減速基調が続き、国内の企業業績は外需の伸び悩みが重荷になると思われます。堅調な国内の不動産市況も一巡するのではないでしょうか。

楽観的には、年後半に中国の景気減速がいったん踊り場を迎え、米国の景気が予想以上に落ち込まなければ、日本株は10月~11月には調整が一巡するシナリオがあります。ただ、2017年4月から実施される消費再増税なども意識されだす時期でもあります。2014年4月の増税実施後に景況感の回復が遅れたことから、海外投資家による日本株の売り越しが上値を抑える可能性はあるとみています。

注目イベントは、国内で夏に実施される参議院選挙や4年に1度の米国の大統領選挙が挙げられますが、あまり関係ないでしょう。それよりも、オリンピックやリニア新幹線にからむ需要が想定以上に経済の下支えになると思いますし、「国土強靭化政策」を背景に老巧インフラの更新需要が続きます。TPP(環太平洋経済連携協定)交渉が妥結したことも追い風です。

企業は規模の拡大を目指し、潤沢なキャッシュによるM&Aで海外進出を積極化するでしょう。株価下落局面では自社株買いは増えるでしょうし、増配・株式分割などの株主還元策を積極導入する企業の数は、増えることはあっても、減ることはないと思います。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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