【産業天気図・空運業】燃料高騰は運賃値上げや機材小型化で対応も限界か。先行き「曇り」が当面続く

航空業界はジェット燃料高騰を背景に2008年度は前後半ともに引き続き「曇り」の状況が続きそうだ。航空燃料の代表的指標であるシンガポールケロシン市況は例年なら年度後半にかけて下落しているが、現状では1バレル100ドルを超える高水準で推移。「燃料精製設備が増強される09年度以降は価格が下がる可能性が高い」(証券アナリスト)とされるが、当面は大きな負担となっている。世界的にも燃油高を背景にした航空再編が始まっており、不透明感は強まっている。
 大手航空2社では08年度のシンガポールケロシン市況について日本航空<9205>、全日本空輸<9202>ともに1バレル110ドルに前提を設定。75ドルだった従来前提を見直した。両社とも先物取引に加えて、燃費効率の高い小型機材への更新、さらに燃油価格に連動して上げ下げする燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)で消費者への価格転嫁を柔軟に進めて対応している。
 日本航空は08年度に前年度比約800億円の燃油費高騰によるコスト増になると予測するが、そのうち、610億円分は基本的に値上げで吸収する構えだ。ただ、消費者負担が増大しており、限界に近いとの声は多い。好調な国際線のビジネス客でもうける構図も高水準に達成しており、成長余力が少なくなっているのが現状だ。また、厳しい状況が続く貨物の抜本改革では両社とも遅れが目立つ。
 一方、お膝元の国内線は総じて厳しい。新幹線との競争拡大などで旅客数は伸び悩んでいる。羽田−札幌、福岡などドル箱路線は飛行機の需要が強いものの、新規航空会社・スカイマークとの競争も激しく利益増大は考えにくい。今後のポイントは2010年。同年に予定されている成田・羽田両空港の発着枠拡大で、需要旺盛な中国など近距離国際線にどこまで増便できるかにかかっていそうだ。
【冨岡 耕記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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