シャープはどこで間違えたのか 栄光と挫折の10年

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結果論で非難するのは簡単だが、一方で、シャープの積極戦略がすべて間違いだったとは言い切れない。

液晶パネルは半導体と同様、最先端設備の導入で生産数量が大幅に増加すると同時に、生産コストは大きく下げられる。こうした産業で投資を躊躇すれば、たちまち競争から置いていかれる。「熾烈な競争に打ち勝つためには、競合に先んじた、果敢な投資が絶対に必要だった」とのシャープ幹部の言葉は真実だ。

シャープの不幸は、液晶パネルの価格下落が想像以上だったことにある。32インチのテレビ用パネルの価格は04年時点で約865ドルだったが、11年には約149ドルにまで下落した(ディスプレイサーチ調べ)。大型液晶で世界シェア1位のLG電子、2位のサムスン電子でさえ、普及サイズのパネル事業は黒字化が難しい。その過酷な市場で戦う日本勢には円高という重荷もあった。

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