4Kテレビ、ひそかに盛り上がり始めたワケ ソニーは、テレビ事業で11期ぶりに黒字化

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テレビ事業で赤字続きだった大手メーカーも、年間ベースではようやく黒字を狙える状況になってきた。

国内の4Kテレビ市場は、ソニー、パナソニック、シャープ、東芝の4社がそれぞれ、シェア2〜3割で、しのぎを削っている。

ソニーは固定費の削減や4Kシフトが効いて、2014年度にテレビ事業で11期ぶりに黒字化を達成した。パナソニックも2015年度上期に黒字化にこぎ着け、通期でも黒字となれば8期ぶりとなる。

各メーカーの姿勢はまだ慎重

経営危機に瀕しているシャープは、不振の海外拠点を縮小する一方で、国内の生産台数を増やした。2015年度のテレビ事業は、中国が足を引っ張り4〜6月期は赤字だったものの、7〜9月期は何とか黒字化にこぎつけている。

しかし、テレビに対するメーカーの姿勢は、まだ慎重だ。過剰投資による負の遺産に苦しめられてきた経緯もあり、「在庫は持たず、早く回転させるのが基本」(パナソニック)。「設備投資を膨らます予定はない。テレビ事業は極力固定費をかけずにやっていく」(ソニー)。赤字への逆戻りだけは避けたいという思惑が透けて見える。

4K普及で高画質化のニーズが飽和状態のとき、次なる成長シナリオをどう描くのか。長い冬を越え迎えた春は短いかもしれない。

「週刊東洋経済」2016年1月9日号<4日発売>「核心リポート05」を転載)

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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