あの「ポンプ式スニーカー」、人気再燃の深層 20年ぶりヒットに潜むリーボックのDNA

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もう1つは、ターゲットの拡大だ。現在、「スポーツミックス」と呼ばれる、街着にスニーカーを合わせるコーディネートが若者の間で広がっている。リーボックはファッション感度の高い消費者に照準を絞り、復刻モデルを発売したのだ。

まず、販路を原宿の直営店、オンラインサイト、セレクトショップ、一部の量販店に限定。ユナイテッドアローズ、ビームス、ミルクフェドなどセレクトショップとのコラボレーションモデルも開発した。デザインの斬新さが口コミで広がり、初代モデルのブームを知らない若者も購入するようになった。

女性向けサイズを増やしたことも奏功した。現在は「女性向けの小さいサイズからなくなる」(遠藤氏)という。2014年以前に1~2割だった女性客比率は今や約4割に達する。店でシューズを購入した女性客は「ワイドパンツやワンピースに合わせたい」と、ほおをほころばせる。

これらの施策によって、2015年のインスタポンプフューリーの売り上げは2013年に比べて3倍強も伸びたという。

フューリーライトで新規開拓を狙う

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フューリーライトは新規客層の開拓を狙った商品だ

冒頭のフューリーライトは、インスタポンプフューリーをベースに、より軽量、シンプルにしたスニーカー。価格もインスタポンプフューリーの半値ほどに抑えることで、「次の若い層に火をつけていく」(遠藤氏)という狙いがある。

実際、「汎用性があり、モードやスポーティな服装にも合わせやすい」(20代男性)との声もあり、出足は好調だ。

「独自性のある靴」「日常で履ける靴」という原点に立ち返ったことで、成功モデルを生み出したリーボック。今後も機能性スニーカーやフィットネス分野に経営資源を集中し、スポーツ用品業界で独自の立ち位置を確立していく構えだ。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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