精密装置支える「はんだ付け日本代表」の底力 アドバンテストの品質は「人の手」が生み出す

拡大
縮小

なぜ、精密装置に人の手によるはんだ付けが必要なのか。そして、大会の競技を「簡単だった」と振り返る佐々木さんは、一体どんな業務を担当しているのだろうか。

アドバンテストが手掛けるのは、半導体製造装置の中でも、半導体が正確に動作するかを判定する「テスター」と呼ばれる装置だ。半導体は最先端のもので、ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)レベルの細さの線で回路を形成する。

従って、精密な半導体を検査するためのテスターにも高い精度が求められる。そのテスターの性能を左右するプリント基板も、基本的には機械ではんだ付けがなされている。手順は次のようなものだ。

佐々木さんは「外観検査」を担当

生産ラインを流れるプリント基板は、あらかじめ部品を置く位置が決められており、自動ではんだを塗る機械の「クリームはんだ印刷機」が、特殊なはんだをその部分に塗布する。

佐々木さんは普段からかなり緻密な作業を担当している。それゆえに、はんだ付けの技術は高い

その後、「チップマウンタ」が必要な位置に自動で部品を置く。最後に、基板全体を高温で熱するオーブンのような役割を果たす「リフロー炉」で、200度以上の高温で熱し、部品を基板に接着するのだ。

しかし、全ての部品を機械ではんだ付けできるわけではない。リフロー炉は基板全体を温めてしまうため、耐熱性の低い部品は人の手ではんだ付けしなければならないのだ。また、顧客の要望などで、回路設計に急な変更があった場合も、不要となった回路を切断し、部品間を新たな導線でつなぐなど、人の手による修正がなされている。

チャンピオンの佐々木さんが担当する業務は、出来上がった基板に正しく部品が接着されているかを確認する「外観検査」と呼ばれる作業だ。機械による外観検査で不良と判断されたプリント基板を、人の目で再度確認する。部品が正しく接着されていない場合は、部品をつけ直して修正する。

次ページ熟練の技術だった
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT