既婚者こそ傾聴すべき!「未婚のプロ」の教え ジェーン・スーさんに「晩婚さん」が直撃

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その点、私たち未婚者は思い通りにならないことへの耐性はすごく低いのだと自覚的にならなくちゃいけないとは思います。私たちもかつては親という他人と共同生活をできたはずなのです。血がつながっていても気が合わないことはたくさんありますからね。大人になってからは長く個人主義でやってきたけれど、もう一度修行し直すのが結婚なんだろうな。

――既婚者も未婚者も、本当に「チェンマイ」に行くのはまだ早そうですね。

もちろんです。チェンマイは最後の楽園ですから。私たちはまだまだ一生懸命にいろんな折衝をやって、社会的責任を果たさなければなりません。いまはそれぞれが「ミニチェンマイ」を持つぐらいがちょうどいいのだと思います。        

ジェーンさんに会って考えた「2つのこと」

ジェーンさんへのインタビューを終え、この原稿を書いていて、印象に強く残ったことが2つある。

ひとつは、友だちとの関係性だ。結婚した友だちに対して「連絡がないのは幸せなのだろう」と感じ、トラブルがあればいつでも相談に乗るけれど、その友だちの大切な人にケチをつけたりはしない。素敵だと思う。それぞれが自立し、誰かに依存していないからこそ、つかず離れずの関係を保てるのだろう。

筆者の場合は、男友だちが気に食わない女性と結婚したりすると腹を立てたり悪口を言ったりしていた。子どもっぽい感情であり、本当の意味での友情ではなかったのかもしれない。今後、家族に依存し過ぎないためにも、ジェーンさんたちの大人の友だち関係に学びたいと思った。

もうひとつは、結婚観の違いである。ジェーンさんは、他人と一緒に暮らすことを「修行」だと捉えている。しかし、晩婚さんたちの話を聞いていると、結婚生活は忍耐ではなく安らぎであることが伝わってくる。今まで一人で暮らして来たからこそ、愛情と信頼関係で結ばれた他人との共同生活に、面白みや安心感を見出すのかもしれない。

この感想を妻に得意げに話したところ、「男の人はそうだろうね。でも、家事が好きではない女の人は、自分で稼げるならば一人暮らしのほうが気楽だと思う」と冷えた口調で返された。結婚したからといって緊張感を緩めすぎると手痛い失敗をする予感がする。

パートナーをようやく見つけて幸せ絶頂の晩婚さん、そしてプライドが邪魔をして老後に孤立してしまいがちな男性たちこそ、ジェーンさんの話はきっと役に立つはずだ。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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