(第60回 最終回)日本は人の「出」「入」で開国を目指すべきだ

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イギリスが持っている旧植民地との強い関係に相当するものを、日本が持っていないのは事実だ。また、英語が世界語になっているために、グローバリゼーションでイギリスが有利な立場にいることも事実だ。しかし、イギリスの開放性は、対外投資や対内投資の大きさを見ても確認できることである。そして、どのような指標で見ても、日本の閉鎖性は否定できない事実なのである。

日本において外国人労働者が少ないことは、これまでも論じてきた。それだけでなく、日本から海外に出て活動の場を求める日本人も少ないのだ。日本人は、もっと海外にチャンスを求めるべきだ。

韓国も、人口比で見ると、移民の「出」が極めて多い。人口は日本の4割弱だが、移民の「出」は2・7倍だ。アメリカの大学でも韓国人学生が目立つ。韓国人はすでに、アメリカ社会の中で確たる地位を占めつつある。国際社会での韓国発人材の活躍ぶりには目を見張る。

人材開国の点で、日本はイギリスや韓国に学ぶべきだ。日本の若者たちは、「仕事をするのは日本国内」と頭から決めてかかっている。しかし、そんなことはないのである。

中国からの移民は800万人を超える。受け入れ国は、香港、アメリカ、日本、シンガポールなど。香港への移民の大半は中国からだ。

中国からアメリカへの移民は173万人で、中国から香港への移民を除けば世界で最も多い(メキシコからアメリカへの移民より多い)。「中国という国家に限界を感じた人々が、アメリカに未来を求める」という動きは、19世紀からあったことだ。それがいまも続いているのである。

前回、「21世紀においては米中というG2が世界をリードする」と述べた。移民において、米中間は、すでに大きな絆で結ばれている。

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