国内カラオケ市場飽和でもボーカロイド、K−POPなどの独自配信で差別化する--日野洋一・鉄人化計画社長

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そこで海外では事業ドメインをもう少し広く考え、日本のサービスを輸出しようと考えている。サービスとは現地でリアルに人が作り出すもので、そこに当社の強みもある。

台湾では、われわれがお店をセットアップし、その運営を委託するという業務委託型店舗運営を行っている。台湾で力を入れているのはラーメン店。業務委託型店舗運営を行ううえで、いちばんのリスクは委託者が撤退すること。空き店舗になったらカラ家賃を払わなくてはならないので、すぐに後継の委託者に入ってもらう必要がある。そのときに改装などの設備投資がほとんどかからず、せいぜい看板を付け替えて、人が変われば済むのがラーメン店だ。台湾では今12年8月期にラーメン店を台北に3店出店した。来期までには10店舗に増やしたい。

店舗を運営するための基本機能には、不動産の開発、ロケーションや人材の確保などがある。こうした基本機能を押さえれば、どんな業態でもできる。本命はあくまでもカラオケ店だが、海外で展開するには時間がかかるので、その前に店舗運営のノウハウを確保しておきたい。

■首都圏出店はいずれ頭打ち。地方の50万都市にも出店を検討

--国内については従来、首都圏中心に出店してきたが、地方への展開は。

現在のような首都圏ドミナント出店を続けていくと、50店ぐらいはまだ出店余地があるが、5年後にはカベにぶち当たる。売上高でいえば今期計画の96億円に対し、年商150億~200億円程度で頭打ちになる。その段階でナショナルチェーン化していくのか、もしくは別のオプションがあるのかを考えなくてはならない。その有力なオプションの1つが、海外進出だ。

日本のカラオケ市場は4000億円規模。一方、アジアは中国本土を除いても、将来的には4兆円の市場があると見ている。アジアに行くべきか、国内でナショナルチェーン化すべきか。この1年間調査したかぎり、海外に出ていくには少し時間がかかるとの結論になった。中長期的な成長のための種まきはしていくが、目先は、来期あたりから地方出店を検討しようと考えている。

地方出店を推進するための大きな原動力を、ここ1年の間にわれわれは持てたと思う。つまり、ボーカロイドやアニソンなどセグメント化されたジャンルに強いというブランド力だ。われわれがそうしたジャンルでイベントを組むと、地方からお客さんが集まってくるし、ネットの書き込みなどを見ても、自分たちの街に「カラオケの鉄人」が出店して欲しいという声は多い。

地方では面展開で店をたくさん作ることはないが、主要都市には1店舗ずつ大型店を作っていきたい。その基幹店の周りにサテライト店を持つかどうかは商圏次第だ。われわれのターゲットはカラオケファンの中でも2割のコアなファン。地方ではかなり商圏を広く考えて、1店舗にお客様を集中させないと成り立たない。50万都市で大型店を1店出店するぐらいがメドだろう。目先3年ぐらいは、海外よりも、地方出店を優先させていきたい。
(聞き手:大滝俊一 =東洋経済オンライン)

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