9月8日までに明らかになる野田首相の真意

9月8日までに明らかになる野田首相の真意

塩田潮

 消費税増税法案が成立し、政治の焦点は衆議院の解散問題に移ったが、増税が次期総選挙の大きな争点となるのは間違いない。 過去には、最大争点によって、安保解散(1960年)、沖縄解散(69年)、日中解散(72年)、田中判決解散(83年)、小選挙区解散(96年)、郵政解散(2005年)などの例があるが、次は「消費増税解散」と呼ばれるだろう。

 他方、解散の仕方と態様によって、馴れ合い解散(1948年。与野党がシナリオどおりに誘導)、抜き打ち解散(52年。不意打ちで)、話し合い解散(58年。与野党の合意に基づいて)、ハプニング解散(80年。与野党ともその気はなかったのに不信任案可決)、死んだふり解散(86年。解散は無理と思わせて断行)、追い込まれ解散(2009年。首相が解散権を行使できずに事実上の任期満了総選挙に)といった呼び方もある。今回、野田首相は話し合い解散を求め続ける自民党に言質を与えず、最終段階で「近いうちに」と言ってその場をしのいだ。年内解散となれば、「近いうちに解散」と命名されるかもしれない。

 だが、「近いうちに」とはいつか、野田首相の真意はどこに、という点が議論になっている。12日付の一部の新聞報道によれば、首相は増税法案成立前の今月初め、自民党幹部に電話で「次期総選挙で民主党は負ける。そこで交代する代表は私」と述べ、「民主党代表選再選後1~2ヵ月で総選挙、敗北による辞任」を示唆したという。それが真意で、法案成立後も不変なら、10月解散とともに、総選挙後の退陣も覚悟していることになる。

 前提となっているのは、総選挙敗北で代表交代というこれまでの「民主党の常識」だが、次期代表選で選ばれた新代表は総選挙敗北後も野党党首として続投可、という考え方が党内で容認されるなら、話が違ってくる。 その場合は、退陣を決意した野田首相は、今国会中に特例公債法案や選挙制度改革法案などの懸案を処理して、会期末に次期代表選不出馬を表明する可能性がある。野田首相が「近いうちに」と言ったのは、衆議院解散のことか、それとも実は退陣の約束なのか。

 今国会会期末の9月8日までにそこが明らかになるのではないか。
(写真:梅谷 秀司) 
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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