バスでも“ハイブリッド戦争”、ガチンコ対決するいすゞと日野の複雑な関係

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生産面で協業しながらも、HVバスは両社がそれぞれ独自に開発する--両社は複雑な関係である。8月9日、藤沢工場(神奈川県藤沢市)で会見した、いすゞの川幡進執行役員は「HV技術に関してはお互いに競争をして切磋琢磨していこうという話になった。やがてどこかの時点でいい方が生き残るだろう」と意味深なコメントを述べた。

今回、いすゞが発売した「エルガハイブリッド」は排気量7.8リットルのディーゼルエンジンを搭載し、モーターによるエンジンアシストや、減速時のエネルギー回生による省燃費システムを導入。現行のエルガディーゼル車の燃費が4.5km/リットルなのに対して、今回の新型HVバスの燃費性能は4.9km/リットルと大型バスのなかでは最高水準である。

また、低排出ガス車の認定で自動車重量税や取得税の100%免税車となった。価格は3044万円でHVシステムを搭載していない現行車より約500万円高い。今年度で100台の販売を計画しており、今期のいすゞのバス販売計画の約1割を占める。

バスにも広がり始めたハイブリッド化の波。ただ、大型トラックがハイブリッド化していく可能性は薄そうだ。エルガハイブリッドの開発を手掛けたいすゞのバス商品企画・設計部の山口貢三部長は、「HVは発進や停止を繰り返す都市部での走行で効果を発揮する。長距離を移動する大型トラックは高速道路に乗れば停止する機会も少なくアイドリングストップ機能も使う機会は少ない」と話している。

現在、バス市場ではディーゼルエンジン車が主流。ただ、環境意識の高まりなどで、都市部を中心にHVバスが普及を拡大していく余地は小さくない。いすゞの“参戦”により、ますます加速していきそうだ。

(又吉 龍吾 =東洋経済オンライン)

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