ジーターが選んだ引退後の意外なキャリア 元スポーツ選手ならではの情報サイトを開設

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11月末に掲載された、NBAロサンゼルス・レイカーズのコービー・ブライアント選手の引退表明は大スクープだった。しかも「親愛なるバスケットボールへ」というポエム調の表明は大いに話題になった。一方、北米プロアイスホッケー(NHL)のパトリック・オサリバン元選手が両親に虐待を受けた過去を告白するなど、「ザ・プレーヤーズ・トリビューン」は難しい内容も扱ってきた。

ファンには今も伝説の名選手

デレク・ジーター氏(写真:Joshua Bright / The New York Times)

とはいえ、その日、モバードのショールームで、「ジャーナリズム界の新・大物」ジーターを待っていた人はほとんどいない。誰もが期待していたのは、「ザ・キャプテン」のジーターだ。

モバードが主催する毎年恒例の教育イベント「ナイト・オブ・ディスカバリー」には、40人ほどの地元高校生が、慣れないぶかぶかの正装で集まっていた。彼らはジーターが若者を支援するために立ち上げた「ターン2財団(Turn 2 Foundation)」の、リーダーシッププログラムの参加者だ。

その晩の「主役」は、天才ジャズミュージシャンと評判のブライアン・カーター(25)や、菜食主義シェフとしてテレビでも活躍するクロエ・コスカレリ(28)ら若手リーダーたちだったが、高校生たちはジーターと同じ場所の空気を吸うだけで満足そうだった。

元プロスポーツ選手にとって、引退直後は特につらい時期だ。瞬く間に体に肉が付き、将来への不安も大きくなる。

だが、ジーターは中年の危機とは無縁に見える。ヤンキースのユニフォームを脱いで1年以上経つが、身のこなしはバレエダンサーのようにさっそうとしているし、体型も相変わらず見事なジャンピングスローができそうなくらい締まっている。

「よく、『野球が恋しいですか』って聞かれるんだ」と、ジーターは言う。「恋しくなんかないさ。20年間全力を尽くしたんから、もう人生の次の段階に進む準備はできている。野球以外の、まったく新しいキャリアを始めることにワクワクしているよ」。

もう1シーズン162試合(とプレーオフ)をやらなくていいから、「ターン2財団」にたっぷり時間をかけられるようになったと、ジーターは満足げだ。この財団は2000万ドルの基金があり、若者がドラッグや飲酒から距離を置き、学業や健全な生活に打ち込めるようにするプロジェクトを支援している。

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