東洋経済CSRデータの詳細分析で判明!「女性が活躍する企業」はここが違う《第2回》 海外と異なる日本の女性活躍企業の自己資本と有利子負債のバランス

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東洋経済CSRデータの詳細分析で判明!「女性が活躍する企業」はここが違う《第2回》 海外と異なる日本の女性活躍企業の自己資本と有利子負債のバランス

 

杉浦康之
日興フィナンシャル・インテリジェンス株式会社


前回は具体的な分析に先立ち、女性従業員の雇用や登用に関する現状について紹介した。2回目の今回は、女性従業員が活躍する企業の特徴を、「企業の資本構成」の観点から考察するために、財務レバレッジとの関係を見ていく。

財務レバレッジとは有利子負債を自己資本で割った指標のことである。企業活動には資金が必要であるが、その調達方法は借入金や社債などの有利子負債と株主の出資や内部留保などの自己資本に分かれる。

学術的には、有利子負債をある程度多くすると、負債の節税効果により企業価値は高まると考えられる。一方、有利子負債が過剰に増やすと、節税効果よりも倒産するリスクが高まり、かえって企業価値が減少すると考えられる。このことから、財務レバレッジが高いということは、自己資本に比べて抱える負債が多いということで、企業の破たんリスクが高まることを意味する。

普通に考えると、女性従業員が活躍するなど従業員にとって待遇のよい企業と財務レバレッジは無関係に思えるかもしれない。だが、海外の研究によれば、企業の従業員に対する待遇と財務レバレッジの間には、負の(相関)関係があることが知られている。

たとえば、ある企業が従業員に対して、自社製品の製造に必要なスキルを訓練するケースを想定してみる。このようなスキルは、他の企業では通用しにくい自社固有のものである場合が一般的である。また、スキルの習得にはコストがかかるため、企業は従業員に長く働いてもらいたいと考えるのが自然である。そこで福利厚生などの制度を充実させることになる。

 

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