日本はなぜ開戦に踏み切ったか 森山 優著

日本はなぜ開戦に踏み切ったか 森山 優著

第三次近衛内閣発足から開戦までの1年4カ月間に、対外軍事方針である10の国策が決定され、その半分は御前会議の形をとった。だがどれも曖昧模糊(あいまいもこ)としていて矛盾だらけ。であればこそ何度もひっくり返され、反故にされている。そんな無責任な国策の積み重ねのうえに開戦は決定されたのだが、政治と軍のリーダーたちがどのような判断と策動により、戦争忌避へ、あるいは早期開戦へと導こうとしたのかが丹念に検証される。特に天皇と海軍の評価が冷静になされているのは説得的だ。

東条首相、嶋田海相、賀屋蔵相、東郷外相が果たした役割の分析も興味深く、彼らのイメージ修正を迫るのも本書の魅力である。対米決戦という結論に至った背景として、決められない議論の進め方と、都合の良い条件と悪い条件をつまみ食いした選択肢の提供という戦略決定の瑕疵(かし)が浮かび上がり、今日的意味が増したといえる。人名索引があればなおよかった。(純)

新潮選書 1260円

  

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