【産業天気図・銀行業】サブプライム問題、ノンバンクなどが足を引っ張り「曇り」続く

銀行業界は、2007年度後半、08年度とも曇りが続きそうだ。
 07年9月中間期の銀行決算が出そろったが、サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)問題に関連ノンバンクの収益悪化、金融商品取引法施行などが上期の銀行収益を圧迫する材料となったが、これらの影響は07年度後半以降も残るとみられるからだ。
 まず、サブプライム問題だが、米国のサブプライムローンが何らかの形で原資産に組み込まれている証券化商品に対する日本の金融機関による投資額は、金融庁の調べによれば簿価で約1兆4000億円、評価損は約1350億円、実現損は約1410億円となった(9月末現在、信用金庫など協同組織金融機関を含む)。
 個別にみると、みずほフィナンシャルグループ<8411>が07年度上期に689億円の実現損失(売却予定貸出金に対する引当計上や証券化商品のトレーディング損など)を計上し、今08年3月期通期で1700億円の損失を見込んでいるのを筆頭に、三井住友フィナンシャルグループ<8316>は07年度上期に320億円の償却・引当を計上。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>は07年度上期に約40億円の減損損失を計上するにとどまったが、サブプライム関連投資は10月末で約2600億円あり、評価損は約230億円となっている。この評価損は徐々に拡大しており、今後、損失がさらに拡大する可能性もある。
 子会社や融資先のノンバンクの収益悪化、株価下落もメガバンクの業績を直撃している。グループ内に消費者金融やクレジットカード会社を抱える三菱UFJは、子会社の三菱UFJニコス<8583>のリストラによる損失(構造改革損失引当金として596億円を計上し、07年度上期は1199億円の最終赤字)が業績下振れ要因となった。三井住友も、07年7月に取得したオーエムシーカード<8258>株の減損440億円が重しとなった。大手行では住友信託銀行<8403>がアイフル<8515>など消費者金融向けに引当金を積み増し、与信費用が約300億円膨らんだ。貸金業法改正や利息制限法を超えた利息は無効という最高裁判決を受け、消費者金融、クレジットカード、信販業界を取り巻く環境は厳しくなっており、今後も注視が必要だ。
 手数料収入を牽引する柱として、ここ数年各行が力を入れてきた投資信託、年金保険の販売も、9月末に施行された金融商品取引法や相場下落の影響で販売に一服感が出ている。「一時期と比べるとやや減速、10月は前年同月の70%程度」(三井住友フィナンシャルグループ・北山禎介社長)という状況は他の銀行、金融グループでも同様で、これも一時的な減速にとどまるのかどうか、今後の販売動向が気になるところ。
 以上、3つの要因は、07年度後半、08年度も引き続き銀行収益に影を落としそうだ。
【山田 徹也記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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