野村ホールディングスの険しい前途、トップ交代で再生なるか

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野村はG−SIFIsに認定されていないが、リーマン・ブラザーズのアジア・欧州部門の買収などでグローバルに事業展開していることから、G−SIFIsに匹敵するポジションにある。そうでありながら、銀行持ち株会社への道を選択しなかった。世界の中でも、銀行と一線を画す唯一の証券グループといって間違いない。

経営が盤石ならば、ゴーイング・マイ・ウェイとして尊重されるだろう。だが、実情は異なっている。リーマン買収に始まる渡部・柴田体制のグローバル路線は挫折した。ムーディーズ・インベスターズ・サービスの格付けは「Baa3」。あと一段階引き下げられるとジャンク(投資不適格)になるレベルだ。

そうした中で発覚したのが今回の増資インサイダー問題である。これによって、強みといえる国内営業にも悪影響が出かねない状況になっている。国内でも稼げなくなった場合、日本の金融監督当局はもとより、海外の当局も野村の動きを注視せざるをえない。なにしろ、G−SIFIs級でありながら、公的なセーフティネットがない金融機関なのである。

増資インサイダー問題の発覚後、野村の経営陣に突き付けられていた本質的な問題はここにあったといえる。そして、野村がようやく解答を出したのが7月26日。経営陣の刷新と「会社を根底から作り替える」という永井氏の発言だった。

具体策として掲げたのが「選択と集中」「グローバル・フランチャイズの適正なサイズへの組み直し」という方針だ。これは、リーマン買収後に続いた国際戦略の見直しの意思表明にほかならない。目下の課題は、欧州をはじめとした不採算部門の抜本的な圧縮だろう。



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