【産業天気図・外食】材料・人件費高で苦戦。食の不祥事も追い打ちで「曇り」続く

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外食業界は07年度後半、08年度とも停滞基調で「曇り」とが続きそうだ。
 相次ぐ食品の値上げで消費者の財布の紐が堅くなっており、外食を手控える動きがあるほか、賞味期限切れ食品の販売など食の不祥事も追い打ちとなって客足が遠のいている。日本フードサービス協会が調べた10月の市場動向調査によると、既存店・全業態合計の売上は97.9%と前年同月比2.1%減だった。
 個別の業態では、07年度上期まで好調だったファーストフードは日本マクドナルドホールディング<2702>でサラダ等の調理日改ざんが発覚し、客数減の懸念がある。『会社四季報』08年新春号(08年第1集)では、マクドナルドは地域別価格の導入や24時間店舗の拡大などで業績が好調なため、07年12月期の営業益予想を増額し前期比2倍としたが、顧客離れが続けば業績は若干下振れのおそれも。08年12月期も伸び一服につながる可能性もある。吉野家<9861>は、牛丼の販売時間延長による客数増により08年2月期の営業益予想は前期比2.2倍と堅調だ。来09年2月期は米国産牛肉の輸入が再開されれば、需給が改善して牛肉の価格が下がり、営業益がさらに伸びる要因となる。 
 ファミレスは客単価には一定の歯止めがかかっているものの、客数減が続いている。ロイヤルホールディングス<8179>の07年12月期の営業益は前年比2.8%増となる見込みだが、主力のファミレスでは客数が想定を下回っており、増益は店舗経費抑制によるところが大きい。来08年12月期は店舗改装で挽回を図る方向だが、多額の費用がかかるため、費用対効果の見極めが難しいところだ。
 居酒屋も飲酒運転の取り締まり強化で苦戦が続いている。ワタミ<7522>は既存店11月の売上高が96.2%と前年同月を下回る状況が続いている。08年3月期の営業益は前期比微増となる見通しだが、この要因はメニュー改善による客単価引き上げや経費削減による部分が大きい。コロワイド<7616>は大幅なメニュー改定で客離れが起こり、「四季報」予想では前号に比べ減額、08年3月期の営業増益幅は縮小するとした。
 一方、喫茶は出店ペースが加速しているスターバックス<2712>が好調だ。「四季報」予想では08年3月期営業益を前号比6.6%増額した。ドトール・日レスホールディングス<3087>はスターバックスに押され気味だが、高単価の飲料で客単価を高めるほか、日レスとの統合により多業態化して出店を加速し拡大を図る。
 大手の一部には業績的に好調な企業もあるが、中堅以下では材料費や人件費高騰が足かせとなる企業が多く、こうした状況が長引けば消耗戦ともなろう。 
【山本 亜由子記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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