就職先の給料や休暇、どう調べればいいのか 「就職四季報 総合版」の見方・使い方<2>

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ただ、メーカーの場合、夏のお盆の時期に一斉休業となることが多く、これも有休休暇の消化日数に換算される。会社が一方的に休みを決めてしまうわけだ。お盆の時期に出社するから、違う時期に休ませてくれと言っても認めてくれないだろう。学生と違って、社会人になると休みを取る時期が制約されることがある。

また、就職してすぐには必要ないかもしれないが、ある程度の年齢になったときに重要となる休暇が「介護休職」。

就活生の親世代は50歳程度なのでまだ若いが、10年、20年と経過すると介護が必要になることもある。今の若い世代は一人っ子が多いので、自分の親だけでなく結婚相手の親の介護も考えなくてはならない。

ほとんどの就活生は、まだ親の介護など考えたことがないかもしれないが、実は切実な問題だ。高齢化社会では、介護のために休まなければならないことがある。介護休暇は非常に重要だ。

国の規定を上回る休職期間か

育児・介護休業法では介護休職期間は対象家族1人につき93日。『就職四季報』に掲載されている数字がこの数字を上回っているかをチェックしよう。

『就職四季報』総合版に掲載されている企業は大手が多いので、休職期間が育児・介護休業法の規程を上回って1年間となっているケースが目立つ。しかし、就職人気の高い有名企業でも93日という場合がある。企業イメージにとらわれず、しっかりと数字を確認するべきだ。

実際に介護休職を取得した人数のチェックも忘れてはならない。介護休職期間とともに記載されている人数は、直近1年間に休職した人数を表す。制度上は2年間も取得できることになっていながら、実際に取得した人は0人というケースもある。素晴らしい制度があっても人数が少ないということは、何らかの理由で利用しにくい可能性があるので注意していただきたい。

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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