韓国でベンチャーブーム再来も、拡大への素地は不十分

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ベンチャーキャピタルもまた、起業への投資に及び腰だ。ベンチャーキャピタル協会によれば、昨年の新規投資のうち、3年以下の初期段階にあるベンチャーに投資したのは全体の約3割にしかすぎない。

投資した資金を回収できる市場が足りないことも、投資が先細りする要因だ。米国のベンチャーキャピタルは10年度に、投資した資金の72・3%をM&A(企業の合併・買収)で回収している。株式新規公開(IPO)は27・7%。大企業が有望なベンチャー企業を買収し、主要な資産にして競争力を育てるのはもちろん、ベンチャー創業を励ます好循環が根付いている。韓国の場合、M&Aでは5%、IPOは14%で、場外売却や償還方式が56%だ。

ベンチャー投資の質を心配する声も大きい。資金の出どころが政府というケースが多いためだ。その投資額の7割が政府関係という話もある。

また、創業に失敗しても再起できる「敗者復活システム」も不十分だ。米国ではIPOやM&Aに成功したベンチャーの平均創業回数は2・8回という。業界は、社長の連帯保証制の廃止、国策保証機関の保証対象拡大など、具体的な政策転換が必要と声を合わせる。

よいニュースもある。第1、第2世代ベンチャー時代のエンジェル投資家が続々と復帰している。そろそろ、第4世代のスターが出てきてもおかしくない。

(韓国『中央日報エコノミスト』7月23日号/キム・テユン記者 =週刊東洋経済2012年8月4日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。photo:Patriotmissile CC3.0 BY-SA

 

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