バンコク銀行を支える日本人バンカーの正体 日系企業取引で断トツ、大洪水にもめげず

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タイには成長余力がある。大化けしたい人は集まれ!

来たれ!中小のオヤジさん

小澤塾では、基本を学び、業務に慣れたら、タイと各人の地元をどう結びつけるか、というテーマを出向者に考えさせます。人口減少で市場が縮む日本は、海外に打って出るしかない。銀行の役割は産業を支援することだが、めぼしい産業がないのなら、銀行自らが新しいビジネスを提案することも必要なのではないか。

実際に、バンコクの料理店に融資し、北海道のイカや水産品を輸入する新しい商流の創出や、タイの観光客をもっと富士山に誘導するために、山梨県の空き家を宿泊用に活用しようという提案も出ています。山梨県は空き家率が全国一なんですよ。

もう一つ、私が期待しているのは、中小企業のオヤジさんたちにここに来てもらい、化けてもらうこと。新しいビジネスに食らい付いていけるのは、リスクを取れるオーナーです。ここは日本と違って、お互いの距離が近い。異業種が交流し、イノベーションが生まれる。タイがその実験場になってくれれば、と考えています。

梅沢 正邦 経済ジャーナリスト

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うめざわ まさくに / Masakuni Umezawa

1949年生まれ。1971年東京大学経済学部卒業。東洋経済新報社に入社し、編集局記者として流通業、プラント・造船・航空機、通信・エレクトロニクス、商社などを担当。『金融ビジネス』編集長、『週刊東洋経済』副編集長を経て、2001年論説委員長。2009年退社し現在に至る。著書に『カリスマたちは上機嫌――日本を変える13人の起業家』(東洋経済新報社、2001年)、『失敗するから人生だ。』(東洋経済新報社、2013年)。

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