ビール不当廉売の疑いで矢面に立つ三菱食品の実状とイオンとの関係

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イオンは23日に東京都内で緊急会見を開き、「卸の仕入れ価格については知る由もない」「消費者に価格転嫁はしない」とのコメントを発表した。イオンは食品卸3社と「適正な価格で取引するよう」とする公正取引委員会の異例の協力要請についても応じる気はないという姿勢も示している。つまり、食品卸3社が値上げを要望してもかなわない可能性が低くない。

食品卸各社は近年、GMS(総合スーパー)など小売からの値下げ圧力が強まると同時に、低価格化を嫌うメーカーとの板ばさみにも苦しんでおり、物流コストの削減や物流拠点の整備など効率化を進めてきた。

業界最大手の三菱食品は11年に三菱商事系の食品卸3社を吸収するなど積極的に吸収合併を行い、取り扱う商品のポートフォリオを見直して利益率の高いチルドや菓子などを強化しているが、酒類に関しては低調が続いているのが実情。公取委からの警告に強制力がなく、イオンが値上げに応じる姿勢を示していないことから、公取委が三菱食品などに警告を下しても、食品卸側の酒類取引の採算が改善する見込みは薄そうだ。

(写真はイメージです)

(秦 卓弥 =東洋経済オンライン)

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