難関に受かる生徒の素質は、この4問で見える 「問題の核心を突く力」、家庭で養う方法は?

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人間の能力としてはこれがすべてではないが、こと受験においては、これらの能力は非常に重要なものであろう。

解答例としては、■1.が「1分38秒」、■2.が「寒かったので体温を上昇させるため」、■3.が「カエルとフナが両方とも変温動物であり、比較的入手しやすいから」、そして■4.が「フナは小さなものから大きなものまでいるので、カエルとの個体差が開かないようにするため」である。

正解数とその生徒の能力の因果関係ははっきりしないが、「小林の20問」と称して出題していたこの問題の出来がいい子ほど、医学部や難関大学に進学していくケースが多かったのは事実だ。

言葉を換えると、正解数の多い生徒は「問題の核心を突く能力」があり、「的確な思考」「粘り強い思考」が出来ている、という印象なのである。

他愛もない問題に隠れた、根本的思考

解説として、各問について少々コメントをしていこう。■1.は、「1秒間で2倍に増える細菌」なのだから、細菌が容器の半分の量になっているのは、1秒前の1分38秒ということになる。

■2.は、人間社会で言う「おしくらまんじゅう」だろうか。今の若い人は知らないかもしれないが、寒い冬の時期に5~6人の仲間と背を向け円陣になり、腕を組ませ勢いよく円の中心と外側に向け運動、体を温めるものだ。ミツバチがやっているのもこれと同じ。気温が低くなると巣の中で密集し、胸の筋肉を震動させて熱を発生させる。

■3.と■4.は比較的簡単である。■3.は、実験に恒温動物を使っても、水温で体温が変化しないので、変温動物を使ったのである。

そして■4.。フナの場合、最小約8cmのキンブナから最大約50cmのゲンゴロウブナまでいる。カエルは一部の特殊なものを除き、最大でも約18cmのヒキガエルが通常である。同じ変温動物でも個体差に開きがあると代謝量が異なり、体温の変化の比較もうまくいかなくなる。

どうだろう。他愛もない問題だが、どれも堅固で根本的な思考が重要であることを示唆するものばかりである。

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